栄口が飛ばしたヤツを泉がふっとばし、その残りをオレがかっとばして…

 ホントーに人がいた。

 しかも何か薄い緑色の結界で覆われている。ヘンなヤツ。触ってみると、ぷんよぷんよと指をはじき返してくる。しゃーないから、結界の外からはみ出てた毛布をゆっくりとはがすと、病院の入院してる人みたいな服がでてきた。
『おーい、阿部ぇ。』
 とりあえず、「目」とその後ろにいるモモカンとかに話をきいてみたほうがいいと思う。
『なんだ?うるさい。大声で言わなくても分かる。』
 ホンットーにスペシウム…じゃない、カルシウム、足りてねーな。
『人はいたけど、なんか結界で覆われてるぞ?』
『は?』
『確かに。しかも聞いておどろけ、その人そのものか結界か分からないけど、清浄化させている。この空間は浄化士どもいらねーぞ。』
 いつの間にかいた泉が入ってくる。
『つついてみたけど、結界割れないし。』
「つついたの!」
 もう片方の横に来ていた栄口驚くし。…そら、フシギなモン見たらつついてみるのが世の常識ってヤツだろ?
「つついてみたぜ?ぷよぷよして、ゼリーをスプーンでつついてる感じ。」
 つついてみたら?と二人にうながしてみたけど無視された。…ちぇっ。
 その間にも、阿部と後ろにいる総指揮であるモモカンとかシガポとかが話し合っているらしい。
『田島くん、栄口くん』
 突如飛び込む女性の声。いきなり入るからびっくりするよ。モモカンの声は。
「はい。」
『はい。』
 オレと栄口が答えると、モモカンがそれを連れて戻って来いと言って来た。
『田島くん。阿部くんの言うには田島くんより少し背が低いらしいけど?』
「そんくらいです。」
 …もっと低いかな?縦と横の状態なんてわかんねーよ。
『それなら田島くんの結界でも大丈夫ね。』
「はい。」
 オレは衝撃士の他に結界士の能力も持っている。でもまぁ、衝撃士のほうが自分にあってると思うし。レベルも全然上だ。…結界はるのかぁ…ま、いっか。
「こっから…」
 つつつ…とそいつの肩幅からちょっと出たくらいを想像するために、指で認識する。
「ここまで。と。」
『ちょっと待った、阿部、こいつ点滴してんだけど?』
 あ、忘れてた。サンキュ、栄口。
『ああン?何袋?』
『一袋。』
『なら…泉、その点滴は外せそうか?』
 泉がおそるおそる近づいて、外側からそーっとチューブを引っ張る。うわっ、こわっ!
 チューブは動いてうごいて…そいつの腕から…針ごと抜けた。でてくる血は…赤い。とりあえず、人。虫だとどす黒い緑色してっから。
『はずしたぞ。血は赤。人みたいだ。』
 泉も同じ考えだったみたいだな。
『泉はその点滴、こぼさないように持って来い。田島、結界。』
「あいよ。」
 さっきやった指の位置と高さを頭の中で想像して…。
「よいしょ。」

キィーン!

 ほい、結界できあがり。これなら中にいるならどんな状態の人でも微動だにせず動かせるから、救急車の担架の代用としてしばしば呼ばれる時がある。色んなところに使われるんだよ、除中屋は。だから除虫屋の一員と認められるレベル3から必ずしなきゃいけないバッチをいっつもつけてねーといけないんだぜ?めんどーくせー。
『栄口、それを落とさないように空気でくるんでこっちまで運んでくれ。』
『はいよ。』

 結界の下が何もないのに持ち上がり、ふわっと空中に浮く。空撃士のホンリョーハッキってヤツ?

 オレと泉はひしゃげたドアを軽い衝撃をあてて入り口からどけ、栄口が歩きやすいように道を作る。
 ふわふわ浮いているそいつは、薄い緑色に覆われているから完全には分からないけど、茶色の髪の毛をしてるみたいだな。うん。
 オレらは窓の近くで待機している水谷の横を「がんばれよー」と応援しながら歩く。今回の場所は家一軒と言っていたけど…でかかった。
 玄関のドアが開いていて、そこに地図を左手、右手を花井の肩に置いた「目」の阿部と「結界士」の花井、それにモモカン、情報を管理している巣山がいる。
「おーい、花井、結界解いてくれよ。」
 出られねーって。
 花井は後ろで立っていたモモカンをちらりと見やる。
「いいわよ。」
 モモカンが言った直後に結界が切れる。あー、終わったおわった。
「水谷!」
 あ、忘れてた。
 情報として、また、浄化士への確認として、また上のオッサンどものホーコクとやらに対してあがった照明弾は…。

「…」
「…」
「…」
「やった!ラージ!」

 成功を表す黄色だったけど…割れたハートマークだった。
「この間、コンパでフラれたのがそんなにショックだったのかねぇ…。」と栄口。
 ショックだったんじゃねー?あんな形にすることが出来るって、フツーは無いわな。
「まだまだ修行が足りないわねぇ。あれさえなければもう一つレベルが上がるのに…。」
 モモカンもやれやれ、という顔してる。てな間にそれ撃ったヤツが来た。あははははーと笑っている。
 ま、いつもの終わり方っていったらなんだけど、いつもの終わり方だ。阿部の怒鳴り声が次ぎにきたら。
「このクソ光撃士ィィィィィィィィィィィ!」
 ほら、な。いつもの怒鳴り声が撤収を意味してる。

 あー、早く帰って寝たい…の前に。

 あいつ、見てみたいなー。

 今日も夕方6時から始めたのに、終わったの11時だよ。明日…げ。朝練早いんだ。高校生だからなー。2年先輩な泉にぶち殺される一歩手前で起きよう。

 高校一年生、田島のセーシュンホーコクでしたっ!

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田島のところに説明を入れると、かなり省いた感になりました(笑)。この際だからとかなり書き加えてあります。