あー、毎度ながらかったりぃ。

 自分の撃った衝撃波は、なにやら妙にゴツい扉を打ち砕いた。

 瞬間、何か不思議な感覚がオレをすり抜けたが、この場合は無視。

「田島!」
 栄口が一歩先に出ている田島に確認をとる。どうする?と。ヤツにしては珍しいけど、オレだって栄口の立場じゃなくて、この場面なら、とりあえず、こう聞いておく。
「どうなってんだ?」

 部屋は白く、病室を思わせ…いや、点滴の架台があるから病室かもしれない。病院なら四人部屋くらい?そんな広さ。ベッドかなぁと思うところにてんこ盛り。

 アメーバ系の虫ども、「目」である阿部の言葉に従うなら19体ぶん。

「おい、阿部!人なんてどこにもいねーぞ!ねっちょりアメーバしかいねーよ!」
 田島が骨伝道のインカムに怒鳴っている。あっちも怒鳴り返してくるかと思いきや、返ってきた言葉はこっちが驚くだけ。
『なら、その下にいる。』
 下?とんでもねぇ話。ありえねぇ。…が、阿部はウザい所が多々あるが、ウソはつかない。こういう時は。ウザいけど。
「ならあの場からとりあえずひっぺがすかー。栄口、頼んまぁ。」
 のんびりとながらも田島が言って、場を譲る。衝撃士であるオレと田島の衝撃波では強すぎて全部ふっとばしてしまう。空気を操縦する空撃士の栄口うってつけとも言うだろう。
「どんくらいにする?下手に撃つとバラけるけど?」
  「んー。」と田島が悩む。ただし一瞬だけ。田島はニシウラの中でも最年少だけどこういう判断は凄まじくいい。てきぱきとこなす。
「…あれの半分を壁にぶっ叩く程度で。」
「了解。」
 言って、栄口のもとに空気が集まる。空気砲か。
「泉、壁に叩かれたヤツ、衝撃波最大で。」
「あいよ。」
 言って、準備。
「はっ!」
 栄口の右手から放たれた空気は、力をもったちりとりみたいな形をしている。それが今覆っている虫どもをすくい、壁へとたたきつけ…た!
「っ!」
 オレの両手から出る、最大の衝撃波。それを見つつ田島は回りこむようにそれに近づいていく。

 バシャァン!

 全員、専用の防護服を着ているけど、この虫のわかんねー体液をどうにかしてほしい。
 臭いし、何より、溶けたり焦げたり爆発したり、忙しい。今回は焦げる路線らしい。まだありがてぇ。
 とりあえず5体は確実にしとめた。すぐに次の衝撃波を準備…発射。これで大体半分。
 その間に田島は栄口が残した虫を大体しとめていた…というわけで、今、全部消えた。

「オールクリア?」
 栄口の声が響く。
『ああ。全部倒した。…水谷。まだ撃つな。』
『うぉっ!もう少しで撃つとこだったじゃんかよ!』
 おどろかせんな!という水谷の怒声を無視し、そこにいる田島のほうへと向かう。
 とりあえず、半分ほど剥ぎ取った虫の下にいた「人」とやらを見にいくためなのだが…。
 人って…光る…というか…結界?結界士?

 違う。結界士は意識がなくなると結界も解ける。それに結界士の結界は基本的に無色透明だ。こいつのは薄い緑色。しかも腕に未だに点滴のついた針が刺さっている。透過性もあるようだ。

 フシギな、不可思議な、空気。
「浄化…?」
 栄口が呟く。…まさか。
 田島がうまいぐあいにはみ出ていたその人の胸から下へかかっていた毛布をゆっくりとはぐ。
 病院の検査着姿。腕には点滴。一言でいうなら「病人」。
 だが、病人は自分の体を治すためにいる。死へと向かうのもいるけど。

 虫がたかっていて。
 でも防護壁みたいなので守られ(守って?)。
 生きて、しかも後で来るだろう、この澱んだ空気を浄化する浄化技師以外にも浄化ができる。

 ンなヤツ、見たことないけど…

 泉 孝介 17歳。

 始めて見ました。ちょっと驚きだ。

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泉さんはどうしても漢ポジション(笑)。