| モモカンの運転する、除虫屋「ニシウラ」のバンは軽快に深夜を走り…町外れの洋館へと入った。ちょっと大きな荷物(人だけど、この場合は貨物扱いでいいよね)があるんで、オレと田島は一番後部の座席、あとは全員ぎゅうづめだ。無論一番ぎゅうぎゅうになっているのは水谷だけどね。本人もなれたか、「ナニソレ?ヨガのポーズ?」みたいな格好でうとうとしだしている。隣の花井が気をつかっているらしいけど…ま、無理だね。隣、阿部だもん。 キッとバンが止まり、わらわらと全員が外に出る。オレらの衣食住をまかなってくれる建物の鍵を開けるのは花井の役目。 オレと田島はモモカンの指示どおり、その人物を客室のベッドにまで誘導した。…結構な力仕事だ。 ベッドに入れ、田島が結界を解除すると…少しあって、緑色の膜みたいなのは消えた。ホンットーに良く分からない。 「あの点滴の中身、精神安定剤と睡眠薬だってさ。」 電気を消して、客室からでてくるオレらを待ってたかのように泉が言ってきた。「除虫屋」の非戦闘部員にあたる「武器士」西広と沖のカバーしている分野は広い。基本的に巣山は「力」を持っていないけど、情熱と技量と偶然があればこの職につくことができる。巣山は「情報」という力をオレたちに分けてくれる。除虫屋には一人、必ずいる「情報屋」というヤツ。 ちなみに今脱いでるこの防護服は巣山の情報と西広と沖の努力が詰まっている。 「いつごろ起きるって?」 朝食を一人増やさないとダメかな? 「分からないって。どうやら双方とも強い薬で…あー、睡眠薬のほうはなんだか良く分からなかった。」 睡眠薬は短時間から長時間まで効くやつがあるからね。仕方ないよ。 そう言ったら、田島と泉は同じタイミングであくびをした。高校生はもう寝る時間だね。しかも朝練だろ? 「オレは朝食の下ごしらえするからお前らさっさと寝ろ…って、風呂、もう誰か使ってるのか?」 『阿部。』 同時かよ、お前ら。…全く、あのオレ様主義は…。まぁ、これから報告書とか書類を作成しないといけないから大目にみてやるとして。 「花井と阿部の他は?」 『寝た。』 はやっ!大学生が高校生よか早く寝てどうするんだよ〜。 「じゃあ、田島も泉もおやすみ〜。」 「おやすみー。」 「おやすー。あいつが起きたら起こせよー!」 田島は走って、泉は歩いて、自分たちの部屋へと戻っていく。泉はどうあれ、田島の部屋はいつかは花井か誰か入れて、大掃除しないといけない。キノコが生えてきそうだ。 「さて、と。」 「結界内」でのオレらや虫の居所をつきとめ、うまい具合に退治するための存在である「目」である阿部は、花井やモモカン、シガポと協議しながらお上へ提出する報告書を書く。明日は大学は休みだから別に死にはしないだろうけど、午後からのっそりと部屋からでてきて仏頂面で「コーヒー」とくるとね、やっぱりちょっとヒきますよ。オレとしても、誰にしても。 米は…明日は7合。いや、8合。オレはパンでいいから…うん。一斤あるな。和食組はおシャケ様…あ、シャケのふりかけのこと。と目玉焼きでいいや。パン組も目玉焼きで。…たまごたまご…よし、この間の特売で買ってきたのが沢山ある。 はて。 生活担当であるオレはそこで首を傾げる。全員(シガポとモモカンはそれぞれ違う家からここへ来る)の食べ物で好き嫌いは大体知っているけど…彼は何を食べるのだろう。 とりあえず、明日あした。 ジャージ姿になってやってきた阿部に「報告書にあんまり水谷のこと酷く書くなよ。」と言って、自分の部屋へと戻った。電気をつけて…うん。いつもの部屋だ。 「おやすみなさーい。」 部屋の隅にある洗面台で顔とか洗って、そのままベッドへ直行。いや、今日は疲れた。眠い。 すぐに睡魔がやってきた。 |
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この時点の栄口くんは「まだ」白い 笑