田島と泉は同じ会社の同じ課……といっても、二人しかいない課なのだが……に所属している、所謂「同期の桜」というヤツである。ロッカーにリュックをぶち入れ、二人とも自分の席へ着く。自分に割り当てられているパソコンの電源を点け、IDとパスワードを入力した所で時計を見る。
8:29
「間に合った〜」
「今日もギリギリ〜」
二人でよっしゃあ!と喜び合う。
「お前ら…なぁ……。」
早速隣のブースである7課から一人、ひょいと出てくる。7.8.9課の課長、花井である。ちなみに二人は9課に所属。新設されてまださほど時間が経っていない課でもある。
「いーだろ?ちゃんとジャストにログインしてんだから!なー、泉。」
「そうそう。」
田島の大きな声にうんうん、と泉は頷く。その会話のやりとりに花井は頭を抱える。
「……今度からお前らだけ5分早めるか?」
「ナニソレ、花井、オーボー!」
「阿部以上のオーボー!」
「なんだそれ、オレがまるで極悪人扱いじゃねーか!」
花井が負けじと言い返す。
「………お前ら………」
近くのブースから、また一人出てくる。今度は黒いオーラがこんこんとわき出している。
「出た。妖怪。」
「鬼、出現。」
田島と泉が呟く。花井もあっちゃー、と頭を抱える。
「なぁ、花井。お前の言いたいことは分かるけど………」
4.5.6課の課長である阿部は花井の肩にぽん、と手を置く。
「オレを出汁に使うたぁ、どういう了見だ?」
「そ…それ………は…………」
存分に刈った頭から、汗がだーだー出る。
「大変だよなー、中間管理職。」
「だな。」
二人は意に介さず、自分の席に着こうとする。
『お前らちゃんとしてないからだろうが!』
阿部と花井の怒鳴り声がハモって、フロア内の人間の動きを一時期フリーズさせた。