5人がホームの外へ出た瞬間。

「うぉっ!」
 ウイルスの集中攻撃に見舞われた。この量を一人で食らったら、精神をやられ、一生をベッドの中で送る。そんな量だ。
 そんな中、三橋はどこからともなく背中にと右手に現れた、業務用農薬散布機を持ち、スイッチを押す。

ぷしゅー

 シュールな音をたて、ワクチンが散布される。見る間にウイルスが溶けだし、無力化されていく。
「み、水谷く、ん。」
「これ使えば…って、なにこのスイッチの多さ!」
「お前なら的確にウイルスの種類を判別できっだろ。」
「ま、まあ…ね。」
 これがあの種類のワクチンで…と三橋から簡単なレクチャーを受けている間、やる事ない3人はウイルスをちぎっては投げ、ちぎっては投げしていた。量が半端なく、身体に付着する時もあったが、ファイアウォールで全て無力化、0と1の世界となっていく。バウムクーヘン、しばらく食べられそうにない。あらゆる意味で。
「よおっし!」
 そこに水谷が加わった。想定外のウイルスも入っていた為、急遽ワクチンをホームから転送してもらっていたりしたので、少し時間がかかったのは仕方がない。
「お、水谷、これよろしく~」
 泉が放り投げたウイルスはべちりと水谷の顔面に当たる。上手い!と田島と阿部が拍手。水谷はむーむー言いながらウイルスにワクチンを放出。すぐに無力化される。
「泉!」
「避けろよ、そんくらい。」
 水谷の怒りはマックスに上がったようで、自分たちやらホームに襲いかかるウイルスやらワームやらを駆除しはじめた。何かにとりつかれたような顔をして散布する姿は、全員の顔がちょっとひきつるくらいのものであった。
「水谷、『ゴム』は常駐してんだろうな!」
「無論!」
 阿部の声に何故?という表情をだす水谷に、阿部はくいっと三橋を指差し、「付けておけ。ホームがひと段落ついたらお前も手伝うんだよ。」
 「うわ人使い荒い!」といいながら、右手で散布、左手で伸びるゴムを出した。
「三橋、よろしく!」
「う、うん!」
 三橋の左手首に先端を結わい付ける。これで三橋と合流するのは楽になるだろう。
「じゃ、会社に殴り込みに行ってくらぁ!」
 田島の声に3人が頷く。
「最速、で、行きます。」
 慌てて3人は水谷よりも弾力性にとんだゴムを三橋にぺたぺたぺたとつける。
「水谷!さっさとやれ…ょ…」
 泉の声が途中でかき消えた。三橋のスピードはどんだけ速いかはわからないけど、速いんだろうな。とか思いつつ、ホーム内の浜田や栄口にダメージチェックの報告を受けながら、水谷は一人、ワクチン散布を頑張るのであった…。