土曜の夜。
三橋はベッドの上で正座していた。
目の前には携帯電話。
両親には話しをした。了解もとった。
あと一歩。
あと一歩。
手に携帯を取り、田島なり泉なりに電話すればいいだけの話。
でも、練習だから…疲れてるだろうし。
でも、こんな頼みきいてくれるかわからないし。
でも…
ピリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ…!
その時、携帯電話がけたたましく鳴った。思わず「ぴゃっ」と飛び上がる三橋。三橋、飛び上がる。
恐る恐る携帯をあけて、それが田島だと分かると慌てて通話ボタンを押す。…もう少しで終了ボタンを押してしまうところだったが。
「た、たじま くん?」
『おー、三橋か?こんばんはー』
「こ、こんばんは。」
頭の中ぐるぐるしている中、田島はいつもの口調で『明日あいてるか〜?』と訊いてきた。
「あ、あした?」
『そ、日曜日。ヒマなら遊びいかねーか?明日野球部休みなんだわ。急に相手の野球部が中止言ってきて。』
雨降るかどうか分からないけどさー、と田島は続けた。確かに降水確率は50パーセント。降ってもおかしくはない。
「た、たじま く ん。」
ああ、自分はこういうときになんて弱いんだろうと実感する。でも、これだけは言わないといけないんだ。
「お、おねがい が あるん でで すけ け ど…」
指定した場所は、田島を驚かせるに充分な場所だった。