「そーいやさ、田島ン家って、すげー大家族なんだよな。」
「そだよ。ひいじいとひいばぁとじーちゃん、ばーちゃん、父ちゃんと母ちゃんと大兄ちゃんと大兄ちゃんの奥さんと大姉ちゃんと小姉ちゃんと小兄ちゃん。」
それにー色々動物かってんだぜー。と田島はご披露する。
「すげぇよな…三橋は?」
泉は最後の一本のちょっと焦げたポテロングを口の中に放り込んだ。
「う…お、オレ、ひ、ひとり…っこ。」
「おー、すげー、ひとりっこ!」
田島がやっぱ食べる時とか争いはないのかとか風呂の順番はとか怒濤のように訊ねようとして、三橋が固まる。
「じゃあ、さ。三橋はこれからオレの弟だー!」
いきなりの爆弾発言に泉も、そして三橋も驚く。
「な、なんで「じゃあさ」なんだ?田島。」
「だって、オレ、弟欲しかったんだもん。」
「同い年で兄弟もあったかよー…」
「で、兄から弟へ、命令。」
びしぃっ
田島が指をつきつける。
「明日、放課後、野球部の練習を見に来い!」
それが兄から弟への命令かよー、と同じように兄を持つ泉は心の中でツッコミをいれる。だが…
「……う う… うん。」
三橋が頷いた。心の中で泉は田島へ最大の賛辞を送っていた。
「よーし。なら三橋、いちごミルクぬるくなっちまうぞ。飲め飲め!」
「…う うん。」
ちるちる、と三橋はいちごミルクを飲み出した。
(雨降って、地固まるって、このこと言うのかな…?)
残り少なくなったコーヒー牛乳を飲みながら、泉は思った。
とにかく、明日、三橋が野球部を見に来る。
それだけは、確定した。
あのピッチングを見せたくて、泉はどきどきとしてきた。
あー、早く明日にならないかな?
「あ、最後のポテチ!」
田島が怒鳴ったが、泉は無論、無視した。
家に行く、というのはどうなったんだろーなー、とちょっと思って、やめた。
機会というのがいつかはあるだろう。
にっ、とこっそりと泉は笑った。