それから2週間経過した。
「家に行く」というのがこんなに延期した理由が何気ないクラスメイトの一言だった。
「たじまー、いずみー、なんかお前らそいつと仲いいなー。ヘンなヤツにはヘンなヤツが集まるのか〜?」
茶化した言い方だったから、田島も泉も別に何も思わなかった。だが、三橋は違った。
「へ…ヘン…な…や つ…。」
それで充分だった。
次の休み時間から、泉と田島が話しかける前に三橋はどこかへ逃げ出してしまいだした。昼休みは無論行方不明。どこかでもももと食べているのだろう。全ての授業が終了して下校時間になると、泉も田島も部活に急いで行ってしまう。三橋はのろのろとしながらも家路についてしまう。
それが一週間続いた。
「…ネガティブ思考ってやつだね。」
栄口がそう口にした。
困った二人が昼休み、弁当持参で相談しにきたのは1組、栄口と巣山であった。
「しかも超、がつくな、それ。」
巣山も少し驚いている。
「今日はミーティングだけだろ?だから、どうにか三橋を引き上げたいんだけど…どうすればいいんだか…。」
泉がロダンのあの格好をすると田島が「そっくりー」とケラケラ笑う。それをとすっと何気ないように巣山が手刀を落として黙らせる。
「まずは、ミーティングの前に三橋君を捕まえておかないとね。」
栄口が確認と右手の人差し指をあげて言う。
「あ。」
「そだな。」
泉と田島が二人顔を見合わせて頷く。
「それから三橋君の誤解を解く。誤解…というか…なんというか…引き上げる?モモカンと花井には二人欠席すること言っておく。せっかく心を開いてきたのに固く閉ざしたらオレらも三橋君も悲しいだろう。」
再度泉と田島は頷く。
「ホントは言ったヤツぶん殴りたいんだけどさー。やっぱ甲子園行くにはダメだから。」
「お、良く分かってるじゃないか。」
田島の言葉に巣山がふーんとわざとらしく言う。
「分かってるよ!」
ふて腐れる田島の耳に予鈴が鳴る。1組と9組は一番離れている。戻らないといけない。
「んじゃあな、栄口、巣山、サンキュ!」
「ありがとな!」
二人は言いながら1組を飛び出す。
「…鬼が出るか蛇が出るか、て感じ?」
栄口が巣山に尋ねる。
「鬼、というか泣いた赤鬼って感じかも…。」
うーん。と二人で唸っている間に本鈴が鳴った。
1組からの帰り、二人は階段から弁当箱を持って歩いてくる三橋とかちあった。
「よ、三橋。」
田島が片手をあげて挨拶する。だが、三橋ははっとその顔も見ずに走り去ってしまった。
「…どうやる?」
あげた片手をにぎにぎさせながら田島は泉に問う。
「…まずは放課後、三橋捕獲からだな。」
泉は小さな声で「がんばろー」と力なく言った。
「おー。」
田島もちょっと力なく、答えた。