「でも…」
『でも?』
 泉の言葉に全員が声を揃える。
「…中学の時はやっていたらしいんだ。野球。しかもあれは投手だろ。」
 しかもエース級だろうな、と泉は続ける。あの抜群のコントロールの良さ。あれはもう天才といってもいい。
「じゃあ、なんで野球部に入らなかったんだ?」
『さぁ…』
 花井の言葉に9組コンビは首を傾げる。
「なぁ。」
 ぽつっ、と栄口が声をあげた。全員が振り向く。
「そいつ、野球部に入部しないかな?」
 確かに。そいつがいたら、即戦力になる確率が非常に高い。抜群のコントロール、4つもある変化球。エースとして迎え入れてもおかしくはない。というか、速攻戦力だろうそれは。
『やだって。』
 またしても異口同音に9組コンビが答えた。たずねたのか?お前ら!
『何で!』
 今度は全員がたずねる。
「オレみたいなのが入っちゃ迷惑かかるから…?だったか?泉。」
「そうそう。そんな感じそんな感じ。」
 頷きあう二人に全員が困惑した。どういう意味だ?それ。
「…まずは、そいつと仲良くなれ、お前ら。」
 栄口が命令する。こういう時の命令は、花井よりも威力がある。
「仲良く…」
「…ねぇ…」
 9組コンビは首をかしげた。あの難しいヤツとどう仲良くなれ、と?

 二人の意見は一緒だった。