「…まさか、本当に起こるとは…」
 花井が額に浮いた冷や汗をシャツで拭き取りながら言った。
「本当に。」
 栄口も深い息をつきながら見やる。

 自己修復が始まった途端、レンの身体から明らかにいつもと違う濃さの緑色の光がわき上がった。
「レン!」
 花井が瞬間的に結界を張る。倒れる寸前で栄口がその結界の下に濃い空気のクッションを作って振動が出るのを防ぐ。
 レンはそのまま濃い緑色の膜のようなものに覆われたまま、ぴくりともしない。
「時間は?」
 花井が自分の言葉にはっとして時計を見る。栄口の視線も一緒に動く。
「15時57分。」
「じゃあ、三橋を部屋に。」
 言うと、栄口はふわん、と結界ごとレンを宙に浮かす。その間に花井が携帯電話でモモカンに連絡を入れる。
「…あ、もしもし、監督ですか?レンが…はい。15時57分になりました。今栄口が部屋に移動……え?病院?」
 驚いた顔で花井を見やる。動かそうとしていた矢先だったのでまだ宙にういたままだ。
「…はい、はい。分かりました。じゃあ待機、ということで。はい。」
 失礼します。と花井は電話を切った。
「…なに?病院?」
「ああ、『癒し手の眠り』だから研究者たちが手ぐすねひいて待っている、と。すぐに専門チームが送られてくるから待機だと。」
 花井も相当機嫌が悪い。
「うわ、マジ?」
 栄口の声もかなりとげを含んでいる。花井が冷静状態に戻るくらいに。
「レンは実験動物でも何でもないのに!…返さなかったらレンに何があっても戻るように武器しまいこんで…」
「おちつけ!栄口…」
「レン、この所西広と沖と巣山と結託して何やらやってたから…完成して実用化できるモノだったら配備させて…」
「おちついて〜、さかえぐち〜」
 誰か栄口を止められるヤツはいないのか〜?と考えるが、誰もいない。こういう時に限って大学生グループは誰も帰ってこない。
 栄口の独り言は1分1分をおいてますます過激になっていく。



 誰か止めて〜〜!

 結局栄口の独り言を止めたのは、花井でも、ニシウラのメンバーでもなく。

 救急車のような車に乗っていた、専門チームの者たちの到着する音であった……


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ノンストップ☆さかえぐちくん