12 . 除 虫 屋 ニ シ ウ ラ  


 「レン、車に乗るの久しぶりだろ。」と花井が言う。嬉しそうに見えるのはあながち気のせいではないだろう。共に迎えに来た水谷、西広も嬉しそうだ。
 退院し、バンがある駐車場へと向かう途中。荷物は来た花井、西広、水谷の手にある。レンはぽてぽてと仲間に囲まれて歩いている。首には早速改良されたチョーカーが巻かれている。
 久しぶりに全員揃っての栄口の飯だよぅ。と水谷。
「レン。」
 駐車場の中央にあるバンが見えた所で西広に呼び止められ、そちらのほうを向くと、彼はきちんと直立不動で立ち、そして

「命に関わるような事をさせてごめんなさい。」

 深々と頭を下げられた。
「そ んな…」
 ことないよ。と言う前に

「そして助けてくれてありがとう。」

 こうべを元に戻した時の西広の顔は泣き笑いに近いそれであった。
「う ん。」
 どう答えて良いのか分からず、とりあえず頷いた。西広の顔がほっとした顔になる。
「さあさあ、辛気くさい話はそこまでにして!」
 水谷がバンの中からおいでおいでと二人に手を振る。
「行こ う!」
 レンが西広の手をとり、小走りに駆け出す。西広も少したたらを踏んだが、バンに向かって走り出す。
「はあ?全員集合?」
 車の中から花井のすっ飛んだ声が聞こえる。水谷に視線を向けると、「栄口から。」とちょいちょいっと花井の携帯を指さす。

 秋丸とかいう情報屋がねー、何故かレンの退院する日を知ってねー!今、サキタマの市原と大地も来たよー!!あといないの主役だけー!!!

 漏れ聞こえる栄口の声はやけくそだ。花井も携帯を耳から離して聞いている。
「わかった。わかったから少し落ち着いてくれ栄口。」

 落ち着けっていうほうが無理ー!

 携帯の声が変わった。田島だ。
 「何で?」とすかさず問うと、「食い物に酒が山ほどだからー!」と田島らしい答えがかえってくる。最後に「いでっ!」という声が入ったのは、泉が殴ったのだろう。絶対。
「田島!食うなよー!」
 水谷が花井の携帯に向けて怒鳴る。結構やかましい。
 「水谷、うるさい。」と珍しく西広が注意する。花井からくるかな〜?とどきどきしていた水谷はあらぬ方向からきた声に驚く。
 その仕草に西広が笑い、花井が吹き出し、最後には車の中は笑い声でいっぱいになった。

 「何笑ってんか知らねぇけど、とっとと帰ってこいよ!」と泉の声に変わった後、会話は終了した。

みなさんもお疲れさまでした。ありがとうございました。

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