10 . 幕 が 降 り る 


 西広が目を覚ましたのは、西陽射し込むベッドまみれの部屋だった。6台置かれたベッドはそれぞれが誰か占有しているようだ。安らかな寝息が聞こえてくる。誰だ?いびきまでかいているヤツは?と思ったが、あえて詮索はしなかった。
「西広くん。」
 ドアが知らぬ間に開いて、そこから姿を現したのは今回参加しなかった篠岡であった。
「今回関わった除虫屋は全員寝ているわ。」
 篠岡の言葉に周囲を改めて見回すと、ニシウラのメンバーの半分が寝ていた。あ、いびきの主は…と思ったが、篠岡の言葉に集中することにする。そこではた、と思い出す。
「レンは?」
 勢いづきすぎでどもりそうになった。
 焦燥感と罪悪感がむくむく沸き上がってくる。抑えるのに必死で…でも、抑えられなくて…西広は様々なマイナス感情を次々と味わう。悔しさのあまり涙が出そうになるが、そこは男の根性で抑えた。
「篠岡さん、レンは?」
 そんな西広の表情を見ながら、篠岡もできる限りの笑みを浮かべて「レン君は無事。膜もかなり薄くなったわ。」と告げた。見る間に浮かんでくる安堵の表情に、篠岡は苦笑するのをとめる事はできなかった。
 幾度か生命の危険にたたされたことは告げなかった。どうせ知る事になると思うし、何より西広も田島も被害者だ。彼らに嘘はつきたくない。でも今ここでは秘密にする事はできる。篠岡ができる、精一杯のことであった。
「田島は?」
「田島くんは今寝てるけど良好よ。」
「そう…」
 篠岡はできうる限りの明るい表情で言った。
「良かったわね。」
 二人とも無事で。
「うん。」
 西広は結局耐えられず鼻をすすった。レンではないが、涙腺が緩みっぱなしだ。
「じゃあ、看護師さん呼んでくるわね。一応安静!」
 びしと指を突きつけられ面食らったが、苦笑でその姿に反応した。


 看護師と医師が来て、一通りの診察を受けると、今日は安静にしていなさい。と医師の指示にはい。と素直に答えた。
 泉に睡眠スプレーをかけられた時は怒りを感じたが、少し落ち着いた今では感謝していた。
「他のヤ… 者たちは?」
「空撃士、光撃士、結界士、目、その他諸々全員睡眠をとっているよ。」
 さあ、君も。と座った状態から横になることを勧められ、大人しくそれに従う。
 夕食は普通の出しておくから。と言って、医師と看護師は去っていった。
「私も帰るね。」
 篠岡が告げた。先輩の鷹の目を手伝っている途中で抜け出してきたの。と笑いながら言う。
「篠岡さんも無理しないで。」
「それは私の言葉。ゆっくり寝てね。」
 じゃあまた。と篠岡が出ていくと、残るのはニシウラの仲間たちの寝息。
 何時間寝たかわからないけど、もう寝られないかな?と思った瞬間に睡魔に意識をかっさわれた。

いろいろと完了してみました。文が少ないのは堪忍。

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