9 . 癒 し 手 の 戦 い 


「始まってたか。」
 警察に証拠物件を渡し、後日詳しい聴取うけますから。とミホシが代表して警察相手に説明していた。
 叶と織田が到着したのは、市原が阿部の指示で右腕に空気膜を展開し終わったところであった。
 「オレは水谷手伝うわ。」と織田が光を展開している水谷の近くに寄る。
「高瀬。」
 叶が笑いも収まり、本格的なイメージトレーニングをしていた空撃士に話しかける。
「…なんだ?」
 無言で叶はピンズを見せる。
「叶…だったか。お前も空撃士だったのか。」
「警察に説明してたから作戦内容を聞き漏らしていた。すまん。」
「このレベルなら…結界士のほうに回ってくれないか?」
 三橋の右腕以外の場所は結界を張っているが、それでは心許ないと阿部がぶつぶつ言っていた事を言った。
「わかった。河合、花井。」
 叶は足音をたてずに右半身担当の河合と左半身担当の花井に近寄る。
 まず、作戦実行しているメンバーの周囲を空気膜で覆った後、三橋の右腕以外の身体を空気膜で覆う。
「叶!?」
「シッ…集中しろ。」
 結界を覆うように作られた空気膜は頭部分を中心に綿密に作りあげられている。
「これで爆弾がきてもレンは助かる。」
「そう…だな。」
 花井が答える。
 市原の隣に栄口が立ち、次の工程に移ろうとしている。
 泉たち攻撃特性しか持たない者たちは看護師と医師を交えて真剣な顔をして話し合っている。内容は聞き取り辛いが、三橋の右腕が露出した際、泉と仲沢とで血圧測定などの機器を取り付けようとしているようだ。
 栄口が膜を張る。ふんわりと仕上がった市原の膜に栄口の膜が被さり、更に腕に近くなったようだ。河合がちらりと見て頷いている。叶や花井の位置からだと三橋の膜に邪魔されて見えないのだ。
「高瀬!」
「了解!」
 栄口の展開完了の声に高瀬が素早く反応する。
「佐倉!準備!念のため!!」
 阿部が声をあげる。『目』の情報が聞きたいと思っているが、訊いてハイそうですか。と答えそうな相手ではない。
「阿部、状態としては?」
 言った!さすが栄口!
「レンの膜が予想外に強い。市原、栄口、少し強く。タイミングをあわせる。3、2、1…展開!」
 空気膜が少し強くなる。
「高瀬、腕全体が出られるようなら出せ。」
「了解。」
 フィン…と音がして、高瀬の膜が作られる。
 レンの膜は空気膜に押され、泉たちにも見えるようになってきた。
「いけー!頑張れ!」
 仲沢が声をあげる。右手に三橋に付ける端末を持って。
「駄目だ!佐倉!弱い光から強い光へ!巣山!秋丸!メンバーにサングラス!」
『了解!』

 二人揃って黒いサングラスを取ると、空撃士と結界士にかける。泉たちはめいめいが装着する。
 光が強くなったところで阿部が怒鳴るように言う。
「レンの膜がなくなった!点滴、機材を!」
 わぁっと人が動きだした。

レンレンがんばれー

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