「三橋 廉くん…」
「は は はいっ!」
「そんなに緊張しなくていいのよー」と女性は笑ったが、初めての事。緊張しないでか、といわんばかりにガチガチである。
「仮で25…じゃあ今回が最初の本測定になるのね。」
 こくんと頷くレンに女性はうん、と頷くと、「では、測定を開始します。」と宣言した。
 まず、自分に防御膜を張る時間と最初の膜の厚さ、柔軟さ等がコンピュータで測定される。次は複数人の防御膜の張る速度と厚さ、柔軟さ、一人のみの解除及び膜を厚くしたり弱くしたり。
「…はい。完了。お疲れ様でした。」
 終わる頃にはレンもへとへとになっていた。
「三橋くん、凄いわね。かなりレベルあがっている事を期待してね。」と言われ、驚きと喜びの色を乗せた声で「は はい。」と答えた。
「あと……データを見ると、あなた…気与士の能力もあるみたい。」
 ちょっと試してみて。と言われるが、気与士?きよし?ひかわ?とぐるぐると訳が分からなくなっている。
 その様子をみた女性は苦笑しながら、「他の除虫屋のメンバーにパワーを送ることができる能力の事よ。」と教えてくれた。
「そ それ…」
 先日の横浜へ旅行へ行った時の事だ。異様に力が使いやすかった事をしどろもどろになりながら話す。
「温泉で……なるほど。じゃあ、三橋君は大気や地面のエネルギーを使えるタイプみたいね。また希有な人だわぁ。」と驚かれて、どうしようと涙 がじわりとにじんできた。
「軽くさわりだけ、コツを教えてあげるから、試してみる?」
 うん。とレンは頷く。
 じゃあ、まず私とここにいる他の人にちょうちょとやらを送ってと言われたので、言われるがまま、ちょうちょを肩にとまらせる。
「私と他の人、結構疲れてるの、分かる?」
 うん。と頷く。
「なら、足の下にある床、そこから何かを吸い取るようにイメージして。木が水を吸収するように……」
 言われるままにすぅっと足下から吸い上げるように気持ちを切り替える。
「三橋君は歌がキーワードになるから、何か気になる歌はない?」
 そう言われて困惑した。あるにはあるのだが、水谷から一度か二度聞いたのみで、あまり覚えていない。
「ぼ ぼうがいっぽん あったとさ。」
 瞬間、足下にわだかまっていた何かが自分の中心を貫いたような衝撃にあった。これを変えていけばいいんだと理解する。
「はっぱかな はっぱじゃないよ あひるだよ?」
「あひるじゃないぞー、かえるだぞ!」
 振り向くと田島がニッと笑いながら手を振る。
 手をふりかえし、再度「はっぱかな、はっぱじゃないよ かえるだよ」と歌う。

「かえるじゃないよ あひるだよ」
これで疲労用のパワーに変換。

「今七カ所に 雨ざあざあ降ってきて」
発動と相手を指定。

「三角定規に ヒビいって」
今溜めているパワーは多すぎるので、少し大気に放出。

「あんぱんひとつ まめいらない
コッペパンもいりません」

うまく使えれば、疲労と他のパワーの分割に使えるかな?と思いながら最後を歌う。
「あっというまに 疲れがなお る!」
ちょうちょがぴかりと光る。緑色から赤い色へと。光って、そのままちょうちょは消えた。

 がくん、とレンは膝をつく。田島が慌てて支える。
 そんなレンに送られたのは……周囲からの拍手であった。
「気与士のレベル、これだけできれば文句なしで最低でも30レベルなの。」
 あら、癒し手も仮定でもレベル高いから。…エース登録ができるわ。
「レン……エースになった〜!」
 ぎゅむっと田島が抱きついて、レンがむぐぅと唸った。

 何はともあれ、ニシウラにエースが誕生した。
 おつかれさまー!


わたしもおつかれさまー 笑

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