| 阿部と花井は測定場所が近いので、二人揃って歩いている。自分や他のメンバーのレベルがあがれば、さらに見張る地域が増えたり、緊急除虫作業の命令が多くなったりする。それだけ懐が暖かくなるのだが、いかんせん夜中などに叩き起こされたら大学生は全員睡眠不足になるだろう………高校生は労働法で夜中は無理だし。 除虫屋の前に労働基準法。…まぁ、無視している所も少なくはないが。ニシウラはモモカンが徹底しているおかげでそこいら辺は高校生やレンには負担がかからなくなってはいる……早朝に起こされて、ちょうちょ飛ばしとかはあるが。 「それじゃあな。」 測定用紙を持った花井が先に結界士とA4の紙が貼られた部屋へと入っていく。目はこの奥らしい。 「目」の測定は模擬戦となる。結界士と情報屋(鷹の目)から受け取った虫の情報で、いかに素早く虫を見つけ、結界士にどれだけ、どれくらいの結界を張るように言うかがまず焦点となってくる。次は中に入った光撃士、衝撃士、空撃士などの配置や移動などの指示。それが完了すると、結界士と組んで、どの結界士ともに同じような「繋がり」で虫を視認することができるかという能力のテストとなる。阿部は前者は得意で、後者は苦手である。 「ちわっす。」 「目」の所に入ると、既に一人行っている者がいて、近くで研究者二人がその測定をしている。メインのコンピュータにはデータとして除虫屋名と名前が乗っている。 …はて、サキタマ。どこかで聞いた……。 ああ、と思い出した時に「くっそぉ」と言いながら立ち上がった。測定が完了したのだろう。研究者が苦笑している。くるりとこっちを向いて「あ。ニシウラ…さんで良かったんですよね。お久しぶりです」と言ってきた。どこの除虫屋にも苦労するヤツいんだなぁと思いながら阿部も「こちらこそお久しぶりです。…レンがそっちに派遣されるような仕事がないのがありがたいですね。ここんところ。」 阿部がマシンガントークを始めようとすると、ぱっと話に横やりを入れてきた。誰かで苦労しているらしい。その横入りは非常に上手かった。 「確かに久しぶりで。大地の件は色々と……」 「いや……」 目の前にいるのは、除虫屋サキタマのリーダーである、小山大樹であった。 阿部の能力測定が終わるまで待機と言われたらしく、阿部の能力測定が終わった時も、小山はその場にいた。 「次は結界士との繋がりテストか……」 苦手なんだよなー。という小山の言葉に阿部も珍しく素直に頷く。結界士のテストは結界の強弱、サイズの変更などの技能に、「目」との繋がりのテストとなる。「目」は少ないが、結界士は割合多いので、結構へとへとになる。 大きい場所に通されて、花井がいる所を見てみたら……田島もいる。どうやら衝撃士の測定は完了したらしい。花井も田島も、阿部以外のもう一人に首を傾げ、「ああ!」と声をあげている。 「栃木県!」 ぱしーんと手加減なしでろくでもない事をほざいた田島の頭をはたく。確かに小山市は栃木県だ。どういう覚え方をしたんだこいつ? 「ってーな!ノーサイボー死んだらどーすんだ?」 「お前はすでに死んでいる。」 「あべしっ」 「っるさい!」 ごちーん、と拳を振り下ろして落ち着く。 ふと、視線を感じて三人は同時にそちらを見る。 小山がぽかーんとしてこの一連を見ていた……。 思わず「すみませんすみません」と花井が謝る。 こうして「目」と「結界士」の測定が開始された。 |
登場人物が増えていく増えていく……ブツブツ
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