鷹の目は女子のみなので、鷹の目のみでの検診となるので、ここにいるのは12人である。モモカンとシガポは普通の人間ドッグなので集団受付をすますと「じゃあみんな、がんばって。」と二人はさっさと行ってしまった。
残された10人も色々と貰い、とりあえずは検査着に着替えようということになる。
「なんかこれ着ると、この間の桜木町思い出す。」
 うんうん。と全員が頷く。前回は甚平ではあるが、今回のはぼふっと頭からかぶった長い上に、ひもで調節するズボンであった。
「お前ら、良くこの状態で除虫作業できたな。」
 下着は履いていない。すーかーすーかー状態である。
「おう。あとでレンには苦労してもらったけど……」
 沖に今日やる事を教えてもらっていたレンは急に名前があがって、それこそとびあがる。
「あ、大丈夫大丈夫。この間の桜木町のあそこの癒しの話。」
 沖の顔がう、と固まる。レンはう、うん。とまだおぼつかない返答で田島たちを見ている。
「全員着替え終わったら、3.3.4にまた分かれてそれぞれ受診。でも問診だけは最初は一緒だから全員一緒に行くぞ。
 花井の声におーと声をあげたが、空腹に勝てない強い除虫屋の声は張りがなかった。

 問診の順番で泉・田島・レン、花井・巣山・阿部、栄口・沖・西広・水谷とグループが決まり、それぞれが違う票を持ちながら手を振った。
「水谷〜。看護師さんにみとれて鼻血吹くなよー!」
「お前こそ!」
 田島と水谷がわいわいいいながらも離れていく。田島たちは先にバリウム。水谷たちは採血。花井たちは目と耳の検査に行くとの事。
「阿部の耳は絶対に地獄に続いてるんだぜ?」
「レンに変な事を教えるな!」
 阿部と田島を引き離して、それぞれグループ解散となったのである。

 除虫屋の健康測定。またの名を人間ドッグが一泊二日なのは、除虫屋ニシウラには有り難いことではある。
 病院に一泊二日しないといけないのだが、大部屋一つまるっと借りて騒がないようにすれば良いし、何より。
「………行ってきます。」
「巣山ー、何度目?」
「8度目じゃね?」
「田島、何数えてんだよ……」
 ふらふらとなりながら、巣山は出かける、行く先はトイレ。真っ白な憎いアンチクショウを排泄する為である。
「お、オレも……」
「栄口20回目……レコード更新!」
 阿部がふっと笑いながら「25回まで行くかどうか賭けるか?」まで言い出す始末。レンとこの場にいなかった巣山と栄口以外は全員わっとなったが、花井が19回目と呟きながら旅だったところで沈黙。
「ニシウラ、トイレ二つだもんな……」
「栄口とか、ぜってー漏らしてるな。」
 しかも一つは1階にある。一泊二日が有り難い、ニシウラのトイレ事情であった。
「毎年思うけど、バリウムって二口目までうめーって思うんだけど、全部飲み干す頃になるとなんであんなに不味く感じるんだ?」
「それ以前に美味いと感じるお前の舌のほうが怖い。」
「そか?泉も二口は美味いって言ってたよな。」
「おう。」
「お オレも。」
「三橋もか!」
 田島、泉、三橋、水谷と、阿部、西広、沖の4人と3人で別れた。…三人が戻ってきても、どうせ阿部たちのほうにつくのは分かっているけど。
「だって空きっ腹に飲んでもいいってずいって出るじゃん。美味いって。」
「その後のげっぷを考えてみろ!」
 阿部の言葉に初めてバリウムを経験したレンがうっとなる。我慢するタイプだが、あのげっぷはいただけない。
「いーじゃんか。ゲッペストがでて。」
「わけわからない所で最上級を勝手に作り出すのはやめようね。」
 にこにこと西広が田島にイエローカード。
「えー、年に一度ゲッペスト出すいい機会じゃねーか。」
 彼曰く、ゲップの強さによって「ゲップ・ゲッパー・ゲッペスト」に分かれるという持論があるので、いつも勉強をみてもらっている西広先生にでもつっかかっていく。
「そういうのはそーっとやるもんだよ?人があまりいい顔しないだろ?」
 今度は沖が仲裁に入る。レンはおろおろしているが、泉はいつものことだと平然とした顔をして田島とのやりとりを見ている。
「ちぇーっ、でもげっぷげっぱーげっぺすとはやめないからな!」
「やめろって。」
 いい加減の仲裁。田島に怒りのゲンコツが泉から放たれる。ごつっ
「いってー!…て。なんか花井たち遅いな。」
「そういえば…」
 ちょっと見てくるね。と西広が部屋から出て行く。しばらくして戻ってきた西広は苦笑を浮かべる。
「お前らが賭けを実施しているのを花井から聞きつけて、しばらくトイレ付近で話してるって。」
 みんな結構デリケートなんだよ。と全員にめっと注意する西広に、なんとなく全員が「ごめんなさい。」と謝ってしまったのであった。


お腹すいても食べられない……あの苦しみはやった者しかわからない 笑

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