田島は何度も経験したが、レンに関しては一度のみ、と栄口から聴いている。だが、忌引きというのに緊急除虫作業が入ったのは何故なのだろう?田島はちょっと考えて、ま、いっかー。どーせ水谷あたりが何かミスったんだろ?と安直に考え、全てが終わった後にそれが本当である事を知って七日殺しを実行しようかどうか本気で迷ったくらいだ。

 ちゃんと自分がしないと。

 田島は思う。レンに念のために持ってきたピンズを目立つ所につけることを言いながら、今から行く面子はレンを全く知らない連中ばかりだ。レンがちゃんと能力を発揮できないのでは痛手である。もしも何かあったら、レンは勝手に自身を傷つけ、激痛に苛まれることになるのだろう。それだけは止めさせないといけない。それに今回は数が多いようだ。もしかしなくても他の除虫屋との合同作業の確率が高い。少し不安定で、かなり意気消沈しているレンを作業に送りたくはないが、レンを置いていったら、更に状況は悪化するだろう。
 除虫屋にもルールがあり、そのルールを破ると全体責任をとらされる。ニシウラ解体はなんとしてでも避けなければならないし、その為には選択をしなければならない。
「レン、いいか?ぜぇーったいにオレや、他のヤツに従うんだぞ?」
「う うん ?」
 訳もわからずに頷いたレンだが、頷いたことに満足して、現場へと走り込む。
 そこには既に、数名の除虫屋の者たちが集っていた。



「あ、田島だ。」
 変にのんびりした口調で話しかけられ、色々とレンに言っていた田島がそっちのほうを見る。
「あ、りおー。」
 思わず指差す田島にりおーと呼ばれた少年と青年の、やや青年にベクトルが傾いてきた彼がやってくる。レンは人見知りもあって、田島の後ろにこそこそと隠れる。彼が「?」と言うような顔つきで後ろに隠れているレンをじっと見る。見られていると分かって、更に身をちぢこませる。
「いじめんなよ!」
 さっと田島が先制攻撃をかける。泉がいたなら呆れ顔で言っていただろう。「余計関心煽ってどうすんだ云々」くらい。
「なー田島。この子も除虫屋?」
 利央の声に更にびくりと震え出すレン。
「イッパンシミン入れるわけねーだろ?」
 なるほど、と利央は頷き、目線をレンに合わせる。
「俺、仲沢利央。君の名前は?」
 ちょっと見て、髪の毛と瞳の色が日本人の規格と随分違い、脅える前にきょとんとしてしまった。
「レン、ジコショーカイ。」
「え、う あ。れ、レンで、す。」
 レンの服には確かにニシウラを表すそれと、かなり高レベルな「護り手」であることがわかる。
「レンには体術つかわせねーから。」
 ぶすっとしながら田島が言う。
 利央は苦笑しながら頷いた。



 レンと田島が集合場所へ到着すると、利央の他に二人があーだこーだ言っている。
「あー、和サンと準さんがまた言い合ってる〜!」
 利央は情けない声をあげながら二人のもとへと向かう。二人は顔を見合わせる。ややあって、田島がぽんと手を叩く。
「そか!トリプルクラスか!」
「?」
 今度は三人揃ってわいーのわいのしてる姿を見ながら田島が説明する。
「んとな、除虫屋の…そだな、光撃士とか衝撃士とか、…それが三つ以上レベルが15て認定を受けると、トリプルクラスっていうんだぜ?そいつは大抵除虫屋の中心になっからエースとも呼ばれんだぜ?」
「す ごい!」
「レンも何かもう一つあったらエースだな!」
「田島く ん、も!」
 にへっ、うひっと笑い合うと、どうやら話し合いが終了したらしい。利央が田島とレンを呼んでいる。
 やはり少し怯えているレンの手をとり、二人は歩き出す。

 田島と利央に連れられて行くと、がたいの良い男と、優男が何か言い合い、納得まで達したようだった。お互いの拳を軽くぶつけ、笑いあっている。
「ホントーにトウセイばかりだなぁ。」
「う、ぉ。」
 田島の後ろにささっと隠れるレン。やはりニシウラの者以外にまだ心は開いてくれないらしい。
「ニシウラの除虫屋が来ました〜。」
 利央がのんびり口調で二人の間に割り込むと、とたんにがたいの良いほうが振り向いた。
「あ、やっぱり河合ぱぱ!」
「ぱぱ言うな!このちみっこ!」
 今度は河合と田島がぎゃんぎゃんと言う…と思いきや、わっしゃわっしゃと田島の頭に大きくごつい手が乗っかっている。擬音がごしごしもしくはごりごりに聞こえるのは気のせいではないはずだ。
「んぎゃ〜!」
 現に田島が叫び声をあげてじたばたともがいている。二人の間に殺気がないのでどうすればよいのか途方にくれているレン。
「相変わらずだなー」と利央も放置。
 レンはますますどうすればよいのかわからず、がちんがちんに硬直する。
「ぶっ」
 今までなかった声。しかも笑い声がそこにいた者を振り向かせる。
「今回は3つ共同かよ!」
 笑いながらも彼の視線は傲慢に周囲を見ている。
「ムサシノ第2の榛名とメガネな!」
「誰が!」
「お前。この中でメガネキャラお前だけだろ?」
 あちらこちらでわいわいと始まり、ますますレンは硬直して縮こまってしまったのである。


他校はいりまーす。

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