通された部屋は、レンには見慣れない、仏壇が置かれている部屋だった。
 田島は何か察したかのように、レンの隣に座る。レンもおづおづと座ると、田島の母は仏壇の前で一度合掌し、そして奥のほうから二つの白いものを出してきた。滅多な事では見ない。だがそれは長い時を刻んでいたのを表すように少し黄ばんでいる。
「かーさん、それ…」
 母親はレンの顔をしっかりと見て、一気に言った。

「レン君、お父さんとお母さんの骨壺が入っている箱です。」

 最初、何を言っているのか分からなく、きょとんとしていたのだが、骨壺が指し示す所が分かると、見る間に顔色が白くなる。

「レン君がさらわれた2日後、うちの畑の近くで発見されたの。」
 折り重なるようにして倒れていた。と言ったが、レンにはそれが聞こえていなかった。
「お とうさん。」
 べそをかいている時、抱っこして、背中を撫でてくれた暖かい手。
「おかあ さん。」
 色々やることがあったみたいだったけど、ご飯はしっかりと作ってくれて、眠りにつくまで一緒にいてくれた手。

 7年前に。それは失われていた。既に。

「ただいま。」

「おかえり。」

 言うことができなかった言葉。

 言われるがままに人を殺めていた自分の。

 会えるとは思わなかった。会えないと思っていた。でも会いたかった。

 でも

 その前に。

「う………」

 既にこの世にはいなかった……

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 泣きながら声をあげている自分に、レンはまだ気づいていなかった。


問い合わせにあったし、一度は決めておかないとねということで。

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