花井と水谷と栄口が、通常人間が使うルート(ニシウラは居住スペースが2階なので、階段を使用した)を使って駆けつけ、レンが降りた(落ちた?それはないはず)庭を見ると………
「誰かジョイスティック持ってる?」
 水谷のぽかーんとしたセリフに二人は首を振る。横に。
 レンはいつの間に出したんだか、肉厚のナイフと良く分からない武器で応戦。対する相手は投げナイフを主とした中距離からの戦闘となっている。スピードは互角か?
 レンは拾ったナイフ数本を相手に投げる。全く躊躇なし。相手もギリギリながらかわしている。
「…田島が見たら…とんでもねーことになってたな。」
 それに関しては水谷が頷いた。さもありなん。彼が高校生で、しかも野球部に所属していて良かったと思う。「どんなナイフもうつよー!」とか言われた日にゃ……花井の胃痛も増えるというものだ。
「…って、栄口は?」
 頷いた相手が水谷のみ、と分かった時、花井がきょろきょろと辺りを見回す。目の前では戦闘(なんだろうか?)が繰り広げられ、水谷は手の汗握って見ている。自分もその中の一人だが……

 レンは今、投げるナイフが無くなったのであろう相手と、近距離で戦闘している。もう空気が乾燥しているからなのだろうか、打ち合う度に火花が飛び散る。冗談抜きの………
「本気で戦ってる、の?」
 水谷がようやく結論を出した。言いたくなかったようだが。

 その時、同時に彼らは振り向いた。第3の殺気。慣れてるぶんこっちのほうが実は怖い!

バシャーン!

「いい加減にしたらどうかな!レンも!そっちも!」
 バケツを手にした栄口さん、バケツの端からは水がまだ滴っている。顔が笑ってない。目も笑ってない。怒ってる。本気で怒ってる!その事態に水谷と花井は恐怖した。年に一度あるかないかの栄口氏の大激怒だ。
「二人とも武装放棄!武器は捨てる!…あとで返すから…いや、レンは後で話を聞くから、武器をその場に置いてから、二人ともこっちに来る!」

 さっきまでおさんどんしていた主夫の変貌。………というか、ある意味モモカン、シガポの次に逆らえない相手。それが栄口。

 レンともう一人は顔を見合わせる。ちょっと視線が交錯して(あの人には逆らわないほうがいい。そうなのか?そうだよ?みたいな風だ)そして同時に頷くと

ぼとぼとぼとぼとぼと

「……あいつら、どんだけ武器隠し持ってるんだ?」
「…レン、ニシヒロ工房でまたこっそり作ってたんだ。」
 花井と水谷が同時にはぁぁぁ、と溜息をついた。

 彼らの足下には、無数の武器が小山になって積まれていた。

全部放棄し た?
した。
なら、こっちだ よ。
おぅ。


 と視線を交わして、元暗殺者のレンともう一人はこわごわとやってくる。…とっても怖くて黒いオーラを出している栄口のもとへ。
「レン!それと君!駄目だろう?こんな所で刃物を出して、真っ昼間からチャンチャンバラバラと……」

 うわ、栄口必殺の『お説教』。何が怖いって、この後の『罰』が怖い。
「レン、田島の部屋の掃除かな………」
 もうビビりながら水谷がしゅん、としている二人を見ながら言う。
「レンにそれをやらせたら、間違いなく田島の部屋は何もなくなる。」
 花井が答える。どういう方法を使うか分からないが、レンならやる。絶対にやる。塵ひとつどころか家具全て無くなすレベルでやる。それはそれで見物だが、田島のレンへの「おにーちゃん精神」の崩壊はあまり招きたくないのが心情だ。

へっくしょい!

 二人同時にくしゃみした。ぽかぽか陽気でも水を頭からかぶれば寒いものは寒い。
 栄口は二人の頭にバスタオルをかけ、レンに先に風呂に入るよう促した。案の定、べそべそ泣きながら行くレンに、さっきまでの殺気は全くない。いや、シャレでもへったくれでもなく。
 そこに残ったのは…レンと同い年くらいか、ちょっと上か。

 黒髪の、つり目…というか猫目の少年が、濡れ鼠で立っていた。


いよいよ他のメンバーが出ました!

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