レンの「癒し手の眠り」の最大の特徴である緑色の障壁がとれたのは、それから3日後のことである。


 花井がそのことを告げた時、目尻に涙までうかべちゃって喜んだのは、欠食児童の田島と泉であった(泉にしては珍しく、田島と抱き合ってぴょんぴょんと飛び跳ねていた。それくらい嬉しかったのか?)。 まだ普通の睡眠状態へは戻ってはいないもののその状態へと戻っているらしい。と花井はそう締めくくると…洗濯物を持っていた巣山の顔を見た。こっちもやれやれという顔だ。
 栄口は今、勉強中である。まず「癒し手」の基本から今現在の研究まで、それと病人食。ここ数日の夕食のメニューがそれの試作品ばかりだったので……あ、田島たちの喜びの声はそれか?……掃除、洗濯は全て大学生メンバーがやっていたのだ。良くこれでこの間通常除虫作業が出来たとほとほと思う。…てか、いつもより早かったような気がしないでもない……

「なーなー、花井、レン、明日にも起きねぇのか?なーなー」
 早速田島がなーなー攻撃を始める。たまに起こすこの攻撃はそれはそれで面倒だが、阿部が間違えたことを言ったがために未だにゲンミツの使い方を間違えている。故に慎重にならざるを得ない。
「仮死状態まで体温が下がってたらしいからな。今ゆっくりとそれが戻ってるらしいからもう少しかかるんじゃ…?」
「なーなー、巣山、仮死状態ってどんくらいだ?」
「そうだな……オレが聞いた時には体温が20度代にいってたらしいけど?」
「ホントに仮死状態ってんだなー。」
 田島と巣山の話に泉が食らいついてくる。
「今体温いくつくらいなんだろ。」
「まだ20度代らしいぞ?障壁がなくなった途端に体温が上がりだしたらしいから。」
 花井が負けじと返す。
「今、研究所が蜂の巣つついたみたいな状態になってるみたいだしな。日本で「癒し手」の目覚めを見た研究者はいないから。」
 巣山がよいしょっと洗濯物を持ち直す。
「起きたら速効でニシウラに連れて帰ろうぜ!」
「それ無理じゃ…?」
「その為に栄口の薄味料理に堪え忍んできたんだぜ?なー?」
 田島が泉に向けて言うと、泉も頷く。
「栄口も連れて帰る気まんまんみたいだし。どうする?」
 にやり、と泉が笑う。不敵の笑みとはこういうのをいうんじゃないのか?
「あー、もー、どーにでもなれ!」
 いやっほーい!と田島と泉はジャンピングハイタッチで歓声をあげた。


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栄口さん、育児(?)放棄。