昼食も食べ、阿部が「5時半に防護服及び武器を携帯し、集合。それまで解散!」という言葉とともに、全員が各自の部屋へと戻っていく。

「レン、これ着ろ。アンダーシャツ。」
 部屋を訪れた泉から手渡されたのは、長袖のアンダーシャツ。触れるとアンダーというにはデニム生地のようなごわついた感触。これには覚えがある。
「ぼうだん チョッキ ?」
「…に、除虫屋用の最低限の「防虫効果」がある素材が入ってる。」
 はい、これも、と渡されたのは…
「ストッキン グ?」
「…せめてタイツと言って。もしくは靴下付きスパッツ。」
 ちょっとレンは考え、泉に恐る恐る尋ねる。
「ぱ…ぱんつ、は、はく よ ね?」
 泉はその言葉を受け止め、はぁぁぁぁぁ、と長い溜息をつく。

 そしてやおら、ぽんぽんとレンの肩を叩く。

 しっかりとレンの目を見て、しっかりとした口調で断言する。

「蒸れチンになるなら裸族でいる。」
「!」
 でもレンは今日はそれだけだから。お前はいいよなー。と泉が溜息をつきながら言う。
「厚さ2pの防護服だぜ?伸縮性に富んでいても、通気性が殆どないから地獄だよ。」
 特に夏は。と泉が言って、想像したレンが震え上がった。
「阿部とか花井とか、結界の外にいる連中はパンツはいてるらしいけどな。」
「お オレ も?」
 レンは今日は結界の外からでの応援となる。武器携帯は許されているが、彼が使うことはまずないだろう。
「いいんじゃないか?防護服なしだとまだ涼しいから。」
 まったく、パンツくらい開発しろよ。とぶちぶち漏らす泉。
「まぁ、防護服洗うのは専用の業者さんたちだから。」
 クサいのは脱ぐときだけ。それだけが幸せ。と続けた。
「おい、レン。」
 阿部が部屋へとやってくる。まだ着替える前だ。つまりは私服姿。
「な に?」
 ビクビクと怖がっている。早くも。
「お前の今日の格好は…ああ、泉からアンダー受け取ったか。それと、長袖の綿100%のシャツにトレーナー。ジーンズに綿の靴下。化繊のモノを着ると、もしも溶解液とかくらった時、病院でも治らない痕が残る場合があるから。
 終わったら西広の所に行け。除虫屋用のコートを借りるからな。あと武器の選択。」
 てきぱきと告げていく阿部。うん。うん。と頷くレン。隣で見ている泉。
「それが終わるころにゃ全員用意できてるだろ。………ああ、そうだ。」

にやり。

 その笑いに泉が嫌そうな顔をし、レンは逃げ腰になる。

「除虫屋の職業病、教えてやる。」
 部屋からでていきながら、阿部様はのたもーた。

「インキ○タムシだ。」
「!」
「?」


 泉とレンは、仕事前から大ダメージをくらった。
「巣山あたりからの情報だと、それが原因で仕事にならないとかで、開発も進んでいるらしい。下着とかアンダーとかの。」

 お前、どっから聞いてたよ!

 がっつり泉が怒鳴って、レンは完全にオドキョドしてしまった。阿部はにやりと笑いながら答える。
「まぁ、俺は「目」だから。」

 ありえねぇ。

 がっつり睨む間に阿部は部屋を出て行く。自室だったら塩をまいていただろう。ティーンエイジャー捕まえてシモの病気の話なんて…ちょっと……

「気をつけような。レン。」
「う うん?」
「…………どこから話分かってなかった?」
「い…インキ…」
はい、ストップ。オレらにはまだ早い病気だから。しっかり洗って清潔にすればいい話だから。」
「う ん?」
「………ぱんつの中身!」

 えー、とレンが驚くまで、10秒かかった。

 ようやく理解してくれたと溜息をつくのはその2秒後の話。
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なぜかシモな話。色々な職業に就かれてる方は、本当に独特な職業病あるよな、と思って考えたら…こうなった 笑