しのーか、こと、篠岡千代は除虫屋の非戦闘員にあたる「鷹の目」である。猛禽類のそれのように「虫」が潜む場所を察知し、担当する除虫屋に知らせる。彼女みたいに除虫屋と契約していない「鷹の目」は場所ごとに置かれ、突如現れる「虫」に対し、近くにいる除虫できる者に対し「緊急除虫作業」を促す役割を担っている。なお、「鷹の目」は他の者たちに比べ、かなり女性の数が多い。ひと月に一度、各除虫屋に送られてくる「除虫屋情報誌」の表紙は必ず「鷹の目」と決まっているほどだ。
「あのね、来週予定だったんだけど、急に「成長」が速くなったの。」
 会議室で千代を囲んでの「除虫屋会議」は当然モモカンもシガポも参加する。
「成長が速くなったってことは…」
 沖がつばを飲み込む。
「そう。他の虫を食べたか、人や小動物を丸飲みした可能性が大きいの。」
 出現予定場所はここ、と指す。人家のど真ん中。
「もう既に、ここの家の人及び周囲20メートルの人たちの避難は終了してます。」
 千代は能力が見つかるのが早く、かなりの修羅場をこなしている。彼女の手引きがなかったら、かなり除虫屋経営は難しかっただろう。
「篠岡、虫の種類とかは特定できたか?」 
 花井が尋ねる。
「うーん。今回、爆発型みたい。外見は分からなかったの。あと最低限10匹。溶解型と爆発型。ちょっと厄介かも…」
 阿部が腕を組んで考え込む。
「爆発型ならそれ相応の対ショック型の防護服にしておかないと。」
 沖と西広が頷きあう。これから夜通しで他の者たちの防護服などのチェックに入る。
「うん。今日いきなり「成長」したからあたしが急遽決めたの。ごめんね。」
 それは構わない、と至る所で声があがる。毎週金曜日の夜は一番虫が出現する為、「除虫の日」と決められているのだ。故にどこの「除虫屋」でも木曜日の夜は忙しい。
「千代ちゃん、ありがと。…阿部くん、花井くん、明日の研究に移るよ。」
「はい。」「はい。」と他の除虫をする者たちの指示を出す「目」とどれだけの範囲をどのくらいの強さで結界を張るか決め られる「結界士」が席をたつ。他の者たちは一週間ぶりの訪問におしゃべりの輪を咲かす。
「あれ?今日は田島くんいないの?…と、新人さん。」
 話はやいなー、と泉が言うと「だって鷹の目だもん♪」という答えが返ってきた。
「レン…三橋 廉っていうんだけど、今熱出してて、田島が見てる。」
「……田島くんが見てて大丈夫なの?」

 さもありなん。

「大丈夫だろ?あれはあれでやる時ゃやる。」
 真面目に泉が言う。
「来週、会えるかなぁ。」
「会えるよ。絶対に。」
 巣山が言って、笑った。

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えーっと、例として挙げるなら、某CQ誌の表紙(必ず女性がトランシーバー持っている)みたいな? 笑