栄口は、いつもの通りの作業を始めた。
 風呂、洗濯機などは1階の奥にある。物干しは外。今日は全員出払っているが、誰かいる場合は手伝うことになっている(無視するととんでもないことが待っている。特に
阿部と水谷
 掃除・洗濯・片づけ・洗い物…まんま専業主夫である。
 洗濯機が回っている間、2階にある台所や食堂及び打ち合わせ場所(またの名を「みんなでテレビ見る所)など共同空間掃除機をがんがんとかけ、それが終わったら食洗機の中を取りだして片づける。
 レンにはとりあえず、風呂掃除を頼んでおいた。ブラシとスポンジと「ル○クお風呂の洗剤」を渡しておいたから平気だろう…多分。

 そろそろお昼になるかー、という時、ふらふらとレンが出てきた。

「さかえぐち くん。」
 できたらしい。多分。
「綺麗になった?」
 にこにこと訊ねると…ええっ!なんでそこでしゅんとなる?
「ぼ…ぼろぼろ…に、しちゃっ た。」
 
なにを!
 栄口はとりあえず風呂場へと向かう。

 風呂場のドアを開けて……………絶句。

「れ、レン?」
「うぁぁぁ…」
 しゃがみ込んで両腕を頭の上でクロスさせる。怒られるのかと思っているのか?
「…いや……」
 栄口が唖然とした顔で見る。
「あの洗剤だけで、どうやってここまで綺麗にできたの?」
 オレ、そっちのほうが知りたい。
 少し手を入れて掃除しないとなぁ…今度何か馬鹿やったヤツにやらせようとしていたレベルの風呂場は…

「…本当に、ぼろぼろだ。」

 …造り立てのように、綺麗になっていた。カビとかどうやってとったんだろう。聞きたい。マジで。

「…………」

 でも自分でも、他の者でも無理だろうと思う。

 端にぼろぼろになったブラシとスポンジを見なければ。できるかもしんない、とか思ったけど。

「ごめん な、さいぃぃぃぃ」
 振り向くと、すでにぽろぽろと泣き出しているレンがそこにいた。


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2階部分が彼らの居住空間、1階に応接室など、風呂や洗濯機も1階にあります。