日溜まりの、一番気持ちよい場所にヨシロウはおむつむくむくのちっこいのをだっこしたままその場にゆっくりと腰をおろした。んぎゅーっとしがみついていた手はまだんぎゅーっのままである。
「おひさまさんさん、かぜはそよそよ。きもちよくないか?」
 ちっこいのはむーと言って、おそーるおそる手を離した。むくむくおむつが膝を離れ、ぺたんと緑色の絨毯に座り込む。
「気持ちいか〜?ごろんごろんしてみろ。」
「う。」
 ころんと前に転がると、まんまるおめめがこれでもかと開かれる。近くをありんこが通ったらしい。
「ウヒッ」
 笑う。声は独特だが、満面の笑顔。
「そうかー。よ」
 突然ヨシロウの声が止まる。なにかな?と見ると、ヨシロウが消え、聞き覚えのある声が笑顔にさせる。
「三橋。大丈夫か?」
 真っ黒な髪の毛は、お日さまに見せても真っ黒で。
「こー?」
 一応訊く。見ると目の前の人はにやりと笑うと、頭をなでながら「そ。コウスケ。」と言った。
「こー!」
 むにむにと立ち上がり、コウスケの広げた手の中にすぽっとおさまる。
「初めまして三橋。コウスケだよ。」
「う。」

 ふへっ

 三橋は笑った。




 タマゴの殻が割れてて三橋がいねぇ!
 ユウイチロウがコウスケの部屋の扉をばたーんと開けて、開口一番、衝撃発言をのたもーた。
「はぁ?」
 部屋で割り当てぶんの報告書がくしゃりと恐ろしい音をたてた。
「今日も天気いいだろ?窓全開で、窓の近くにタマゴ置いて、オレもほーこくしょやってたらユウトが来て、話をユウトの部屋でして、戻ったら…」
 部屋は閉めてあったし、窓枠にタマゴのかけらが落ちてたから…と言った瞬間、コウスケは部屋を出た。
「探すぞ!ユウイチロウ!」
「よしきた!」
 途中、カズトシの「廊下は走るなよー」という声を聞いたような気がしたが、無視。
 落ちたであろう場所を確認。ユウイチロウがさっと日だまりがあるほうを指差す。
「あっちにいる。」
 ユウイチロウの勘は凄い。そこでコウスケとユウイチロウはにやりと笑い合い、瞬間これでもかという真剣なか顔になる。
「一発勝負な。」
「さっさと迎えにいかねぇとな。」
 ふふふと笑い合うと、一気に拳をふりおろす!

『じゃんけん、ぽい!』

 瞬間、コウスケが走りだし、ユウイチロウがうぎゃーと声をあげる。

(ユウイチロウのここ一番勝負は必ずグーをだすからな。)
 前方を見る。見覚えのある姿と、むくむくおむつ。一気に沸き上がる怒気。
「こンのバカヨシロウ!」
 コウスケ必殺、踵落としがほえほえと和んでいたヨシロウの脳天に決まったのだった。

 全身ぽってりと、まんま赤ちゃん体型で、むいむいとコウスケに抱っこされてる三橋はいろんなものを見ていた。

おそら、あおい。
きは、ちゃいろ。
コウスケのかみは、くろ。
あ、めもくろ。
こえがでるところは、なんのいろ?

「こーら。」

 おこられた!

 またごはんぬきとかくらいかたいところにでおやすみなさい?
「ご めんな さい。」
 まえのところにいて、はじめておぼえて、いっぱいつかったの。コウスケ。ごめんなさい。たたかないで。しらないふりしないで。

「おお!まるくなった!」
 またコウスケじゃないこえがくる。いじめるの、かなぁ?
「みっはしー。」
 ぽん、ってせなかたたかれてびくっとした。めからなみだがでてくる。こわいよぉ。
「みはし?いじめてなんかないぞ?オレのこえ、わからないかな?」

あ……

「ゆー?」
 なみだでいっぱいだっためをコウスケがふいてくれると、コウスケよりもみじかいくろいかみのけのひとがオレをみてわらった。

「そ。ユウイチロウだぞ!コウスケがいじめたのか?」
 ぶんぶんってくびをふる。
「そっかー!なきがおよりもにっこりかおをいっぱいしような!」
 ユウイチロウはオレのあたまをくらくらするまでなでてくれた。
「オレはユウイチロウ。三橋のくちからなまえおしえてくれるか?」
「う ん!」
 コウスケがくさのうえにおろしてくれる。
 オレは、コウスケとユウイチロウがだしてくれたゆびをぎゅっとにぎっていった。

「み 三橋 廉!」

 コウスケとユウイチロウがぎゅぅーってだきしめてくれてあたまをなでてくれた。
 うれしくなって、うひってわらった。
 ユウイチロウがぎゅぅーってしたままだっこしてくれた。
 すぐのとこにわらってるコウスケもいる。
 フミキがいったのはうそじゃないんだとおもって、またうれしくなった。


次へ