「できたー!」
合流地点、気配を殺してじっと待っていた二人の未成年……今はもう成人であるが……田島が言うと、泉が拍手をした。先日のメールのウイルスに関する事の解読だ。
彼が自ら言わない限り、自分も決して他人には言わない事を決めていた。それが歯がゆくもあり、楽しみでもあった。
さぁ、どう動くのかしら?三橋くん。
百枝はうっすらと笑うと、書類をまとめて篠岡に手渡した。
田島と泉がしばらくの間残業するとの言葉に、三橋も、なら自分も少し遅くなるという返事を返した。
なんてことはない、前に他の所に提出した研究の違う分野であるものの研究資料もあらかたまとまり、提出する先も決まったのでそこにまず書いたものを渡さないといけない。その締め切りが近くなってきたのだ。まとめあがってはいるが、殆ど書いていない。夜中に自室でやるとばれる可能性があるし、誰でも簡単に入れる仮眠室に最新の情報を置いておくのもあまりいただけない。二人の話にはすぐに飛びついた。
本人は全く分かってはいないが、どれだけ世界に影響を与えるかを知らず、ひとまず全て英語で書く。渡米していた間に英語は無理やり詰め込まれたようなものだ。研究は最低限の事はアパートで暮らしていた時に少しずつ進めていたものの一つだ。それがまだどこの報告もされていなかったので、その報告をするつもりでキーボードをカチャカチャと動かしていたのだ。詰まる所はあまりない…と思いたいのだが、それでも重箱をつつくような者がいるので、言葉は選ばないといけない。近くには辞典やらなんやらですぐに山になってしまう。ペーパーレスと呼ばれて久しいこの時代だが、まだまだ辞書辞典は紙のほうが良いと三橋は思っている。
はっと気づくと電話が鳴っていることに気づいた。相手はモモカン。出ると田島と泉が三橋がいないと騒いでいるということ。ここにいる事を知っているのはまだモモカンと篠岡しかいないのだ。
慌てて保存すると、ノートパソコンをお決まりの場所に入れ、車椅子を動かして部屋を出る。この頃は電源を落とさず、コンピューターをロックして、ディスプレイの電源のみを落として帰ることにしている。このパソコンがない限り動かないし、本当に必要なデータはこのパソコンしか入れていない。
三橋は最後のドアから出ると、泉に電話した。コール1回で出て、道に迷ったことを告げると「馬鹿だなぁ、三橋も。」とあきれた声が返ってきた。迎えに行くからどこだ?と訊かれて……慌てて……
「ど どこだろ う?」
ぶふーっと電話の中の泉が噴き出した。え、お、う…と意気消沈していると、わりぃわりぃと謝りながら泉が問いかけてくる。
『会社の中か?』
そう です。と答えると、再度泉の笑い声が返ってきた。まずはエレベーターを探せと言われて、そうだと思い出す。
恥かしい思いをしながらも、エレベーター発見の一報を入れると、迎えにいくから何階?と尋ねられた。
その階を言いながら、ちょっと失敗したかなぁとおぼろげに思った三橋であった。無論、失敗である事は、後にモモカンに言われる事となる。
これでも修正いれたのですが…どうでしょう? ぶらうざばっくぷりーず