| 除虫屋・ニシウラ ニシウラの小旅行・6・後 |
20歳以上の浴衣組は裾を帯に入れてこっちもまぁ、恥ずかしいといっちゃあ恥ずかしい姿だ。全員下着が丸見えである。
「…モモカンがこういう格好すれば楽だろうと。」
苦々しい声で花井が言う。西広も苦笑している。全員にインカムが渡されて除虫作業の格好が整ってくる。
「さぁ!頑張って除虫!」
「全部で何匹?」
元気溌剌ティーンのコンビが早速巣山に話しかける。
「今確認できるので5匹。」
「ならすぐじゃん!」
花井さっさと結界張れよ!
こっちはノーパンなんだよ!
田島と泉の抗議の声に全員が三人の甚平の……ズボンを見る。
全員がフリーズしてしまった。
「…こすれない?」
栄口が思わず尋ねてしまった。
「ちょっと。」
田島が答える。レンにいたってはすんごくビミョーな顔をしている。すーかーすーかーしているのが気持ち悪いのだろう。
「だからさっさと!」
「7匹に増えたぞ!」
鷹の目から連絡を受けた巣山が花井に報告。
「よし。阿部、さっそく始めるぞ。」
「ああ。…お前ら、絶対に風呂部分は壊すな。」
終わったら貸し切りで風呂だからな。
「それは水谷に言ってくれよ。」
泉がしれっと言って「ヒドっ」と水谷が涙ぐむ。
「うるせぇ水玉模様パンツ男。」
阿部も一刀両断。花井に指示して早速結界を張る。
レンが防護膜とちょうちょを全員に。
「10秒後結界を開ける。」
花井が言うと栄口、水谷、田島、泉が頷く。
「まぁ、こすれてもレンがいるし。」
水谷が甚平の二人を見ながらへらりと笑うと背後から怒鳴り声が入る。
「レンの癒し手の部位治癒はその場所を言うんだぞ?レンに言わせる気か?田島レベル!」
何故か怒ってる巣山さん。
え?え?え?と水谷が狼狽えていると、10秒が経ち結界が開く。
「行くぞ結局クソレフト。」
「ひでぇよお前らぁ!」
阿部、無視して虫の位置を泉と栄口、田島に指示。水谷はギリギリまでほっぽっとく。
「衝撃は最低で。栄口!水谷のサポート。」
阿部の指示に全員が了解と答える。
『まずは1匹!』
田島からの連絡が入りだすと、泉、水谷、栄口が虫を倒した事を告げる連絡が入る。
「ラストは泉、すぐそば2時方向!」
『了解…完了。』
あっという間に除虫は完了してしまった。
花井がモモカンへの報告。阿部が撤収の指示をとばしている中、泉と田島がレンにそっと近寄っていく。
「レン……」
「えっと………」
珍しくレンが全てを察している。ちょうちょによって全て理解しているのだ…やっぱり素肌に甚平はちょっと厳しかったようだ。
「………なんて言えばいいんだ?」
「ちんこ?きんたま?」
レンがひぃっと声をあげ、泉は容赦なく田島を蹴り飛ばす。
撤収報告をすませ、全員戻る時。
「田島くん と 泉くん の、大切な ところを 治せ…」
涙目になってそこんとこにちょうちょをとばしているレンの姿があった。
成人組はそれをなんか自分ごとのようになんとなくもぞもぞさせながらちょうちょがあーやっぱそこなのね。という場所にとまるのを見ないようにして待っていたのであった……。
「いっちばーん!」
ざっぷーん!
「にっばーん!」
ざっぽーん!
「さーんばーん!」
つるっ びったーん!
「ち、ちょうちょ…水谷くん を 治せ…」
除虫終了後、10人貸し切りで風呂に入ることとなった。殆ど建物に損害を出さなかったということで、オーナーが特別に許可してくれたのだ。…どのみち今日は営業はできない事もある。
「痛かった…レン、さんきゅー。」
水谷がもう一度入り直しながらすでに入ってるレンに礼を言う。
「レンの癒し手もレベルあがったな。」
沖の言葉にレンがウヒと赤い顔で笑う。で、少し困った顔をしている。その顔は泉、田島、栄口には理解できた。
「何考えてんだー?レン。」
ざっぱーんととびあがってレンを巻き込み沈みながら田島が尋ねる。…ぼこぼこぼこ。
「こらぁ!レンがおぼれたらどうする!」
阿部が怒鳴るが気にしない。けほけほと咳をしながらもやっぱりという顔をして、レンが答える。
「あ の…」
レンが小さな声で言おうとしている。田島と泉は近くで耳を傾けている。
「ちょう ちょ、使い やす かった。」
『へ?』
二人が首を傾げる。やっぱりヘンな事だったのかとレンが落ち込むが。
「もしかしたら温泉のせいかもね。」
栄口がアドバイスをしてくる。
『へ?』
今度は三人が首を傾げる。
「温泉は大地からのエネルギーの恩恵だからね。レンももしかしたらそれを利用したんじゃない?」
「大地 のエネルギー…」
レンが少し考え出す。何か考えついた事があったのだろう。
「まぁ、今回はこの貸し切り風呂。最高だな。」
巣山がこともなしと言わんばかりに言う。うんうんと西広が頷いている。この広い風呂と、外の露天風呂が10人のみで使用できるのだ。
「シガポに自慢してやろーぜ!」
田島の言葉に花井が苦笑する。
泉が立ち上がって「露天いくけど?」と全員を誘う。
行く!と全員が立ち上がった。
こうして、次の日も横浜近辺で楽しんだ全員は、一路、除虫屋・ニシウラへのある地へとバンで戻っていったのである。
後日。
「今回のレンくんが治癒したもの…………」
報告書を読んで、モモカンはどこをどうやって役所に提出するか考えた。阿部も花井も流石に困っている。転倒した水谷はともかく。田島と泉の………は……流石に。
「田島は右足の小指にしましょう。」
阿部が素っ気なく言う。花井がそのこころは?と問いかけると
「そんなもんだろ?」
何が?とツッコミを入れたかったが、「それいいわね。」というモモカンの一言で田島は右足の小指、泉は左手の小指を治した事で報告書を提出してしまった。
泉、田島。理由は言えないけどすまん。
花井はぺこりと頭を下げた。
その理由を知っているのは報告書を読んだ阿部と栄口だけ。
「苦労人だね。やっぱり。」
風呂の時のくつろいだ顔が懐かしいよ。と4日前の事を引き合いにだして、栄口がうっそりと笑ったのであった。
おしまい。
2009/01/31
20:20
なんつーか……こう………すさまじく長くなりまして&遅くなりまして申し訳ありませんでしたっ!