除虫屋・ニシウラ
ニシウラの小旅行・4

 次の朝。やはりというか3人が起きてこないので、沖がカードキーを持って部屋へと到着。
 ドアを開けて入ったら、恐竜とトラとわんこが重なり合うようにぐすこーいと寝ていた。なにこのカオス状態と驚くなかれ。二つのベッドをくっつけて、三人で寝ているのだ。そして散乱している菓子の袋、ウノ、ペットボトルのジュース………。
 とりあえずデジカメで三人の姿を収めると、沖は全員を起こしにかかった。デジカメの中身は、突撃!全員の寝起き姿!がちゃんと入っている。ちなみに失敗したのは栄口とモモカンのみだ(後者はやはりまぁ、トシゴロということで)。
 これからこの3人を起こしに行くと言った所、栄口から教わった魔法の言葉は存分に威力を発揮した。
「全員起きろ〜。15分以内に3階のレストランに来ないとタイムアウトだぞー!」
 3人とも目が半分以上開いていない状態でがばりと起きて、思わず笑ってしまった沖であった。



 三人はくぉぉぉ、とかわりばんこで洗顔などをして、きゃわきゃわ言いながら服を着替えてダッシュでレストランへ。既にそこにはモモカン含めて他の者たちは全員集合していた。全員挨拶をかわしながら席に着くと、栄口が「朝食はブュッフェだから好きなのとっておいで。」と言ってきたので、三人は再度立ち上がる。
「何食う?」
「うーん…日本人は飯だろ米粒。」
「納豆あるぞ?」
「な 納豆…き きら…」
「レンはまだあのねばねばに慣れてないか?」
「に にお い!」
「あー、匂いかー。よし。今日オレが隣で食べるから慣れろ。慣れるしか方法はない!」
「なに朝から納豆駄目な人間にいじめ発言してんだよ。」
「そーかなー?慣れるより食え!と言いたいんだけど…」
「まぁ、確かに納豆苦手なヤツに納豆を無理矢理食べさせるというのはあるいみ一種快感が…」
「ひ ヒィィィィィィ」
「冗談だ、レン。すまん。」
「悪い。レン。…じゃあこのパンケーキはどうだ?蜜いっぱいつけて!」
「蜜言うな…ハチミツかメイプルシロップだろ?」
「う、うぉっ、う、うまそう!」
「じゃあはい、2枚?」
「さ、3枚!」
「朝から良く食べるな…レン。」
「田島に言われたらおしまいだ。なんだよそのどんぶり飯。」
「泉だって同じよーなもんじゃねーか?」
 わいのわいのがやがやぎゃあぎゃあ言いながら食べ物選びをしている3人組に、他の面子ははぁーげんきだなあいつらなにやってんだかと生ぬるい視線を浮かべながらも食べている。
「たっでーま。」
「ただいまー。」
「た ただい まっ」
 三人それぞれ、かなりの収穫を持って帰ってくると、既に食べ終わってる面子はうっという顔をする。
「お前ら…そんなに食べるのか?」
「なんだ花井。悪いか?」
 ぎろり、と睨む泉。
「いや…悪くはないけど…凄まじい。
「いっつも時間がねーからな。朝はこんくらい食べたいよな!」
「う うん?」
「レンは理解していない所で頷かない。」
 西広が苦笑して指摘すると萎縮してしまう。それが分かってるので巣山が助け船を出す。
「レンくらいの歳で沢山食べると花井くらいにはなるかもな。」

 三人、顔を見合わせる。瞬間。

『いただきます!』
「いただ き ます!」

 尋常ではない速さで食べ始めた3人を見て「もっとゆっくり食べたほうが体にいいよ。」と沖が苦笑する。
「いや、空腹を忘れてた。」
 ごくりと飯を飲み込んで泉が言う。残り二人もうんうんと頷く。
「ばっちり食べないとな!」
 既にどんぶり飯の半分を制覇した田島が箸でレンの皿のスクランブル・エッグを攻略しようとするものの、レンのフォークとナイフの反撃にあってあっけなく退散。その間に泉が田島のソーセージを奪取している。あーてめーそれオレんだぞ!と言っても後の祭り。アフター・ザ・フェスティバル。
「いいじゃんか。減るもんじゃなし。」
『いや、それは減った。』
 泉の言葉にはレンを除く全員がツッコミを入れた。





 今日も快晴。いい天気。絶好の風呂日和だ。
 全員、替えの下着と財布のみ持ち、早速横浜の道を闊歩する。
「平日で良かったな〜。土日すごく混むんだって。」
「結構地元の人も来るらしいし。」
 巣山と西広が話しているのを尻目に、田島とレンと泉はあっちへふらふら、こっちへふらふらとしている。いつものことなので全て花井にまかせてある。
「泉まで一緒にふらついてどうする!」
 珍しく花井がキレた。おお、とどよめく全員。
「いや、観光地だから。」
 悪びれもなく答える泉。二人が言い合っていても田島とレンのふらふら〜は止まらない。
「すっげぇ!なんかうまそう!」
「ウヒ。う うま そう!」

なんかもうその会話だけでげっぷがでてきそうなんですが……

 全員が無意識のうちにけぷけぷとげっぷしていると、また二人はふらふらと行ってしまう。
「すげぇ!まんまる歩道橋!」
「まん まるだっ!」
「一周してみようぜ!」
「う ん!」
 二人を止められるのは……
「お前ら!いい加減にしろ!団体行動乱すな!」
 花井を適当にうっちゃった泉である。すかさず田島の頭をぺちぃとはたき、レンの手をひいて自分たちのいる場所へまで戻ってくる。田島もちぇーちぇー言いながら後に続いてくる。
「…………」
「適材適所だよ。花井。」
 栄口がぽつりと言った。

 なんか風呂で汗かく前に目から汗がでてきそう。

 ちょっぴりそう思った花井梓くんでありました。