レン観察日記

 レンにフツーのセーカツなれてきたかー?ときいたら、「?」とゆー顔された。
 ノートおいとくから、カンサツしてみて。
 あ、オレ、夜担当。 田島

 ついつい手に取ってしまう、ロクでもない走り書きが書いてあるノート。
 花井は、パラパラとめくってみる。自分は書いたことないが、結構書いているヤツもいる。まぁ、一日中面倒見ている栄口が一番多いか。それに「あれやらせてみろ」「これやらせてみろ」と命令しているのは阿部(様)だ。無論、栄口が反論している。当たり前だ。ついでに田島から水谷にファッションチェックが入っている…………田島に言われたらおしまいだろ水谷。っつーか、田島、これそーゆー用途で…って、水谷がレンの服を購入してきたのか…

……………………………………………………

 コメントはあえて無い、ということで。
 とりあえず、開いた所に目をやる。


○月×日 晴 14時 栄口

 考えてみたら、昨日初めてレンがうたた寝をしたような気がする。
 前々からうとうとっとしている時に少しでも近寄るとすぐにガバッて起きあがっていたけど、どうやら暖かさとかに負けた
らしい。
 今日もうたた寝を始めた。

 明日もうたた寝したら、毛布をかけてみようと思う。

↑がんばれー!(田島の文字)


 ようやく慣れてきたんだ、とほっとする花井。ツッコミの方法はどうやら田島のこの方法で決まったらしい。ページをめく
る。


○月△日 曇 20時 西広

 …工房でレンがキョドキョドしている。何か隠しているらしい。
 昼間見たら、ちょっと確認しておいてくれるといいな。

同じ日 21時 沖

 材料なんか色々なくなってるみたいだけど?
 調べておいてくれると助かります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

○月▲日  晴  阿部

 聞き出しといた。色々暗殺武器を作っていたらしい。
 今度作る時は栄口に一言言えと言っておいた。

↑なにそれ!横暴!(栄口の文字)
↑暗殺武器だけじゃないと思うんだけど。量的に。(沖の文字)
↑「除虫用アイテム」じゃないの?(西広の文字)
↑レンに見せてもらったぞー。すげーぞ!小さいのは10pくらいの針みたいなの。
あと銃も作ってた。「違法だからダメ。 」と言ったらうなずいたぞ。(田島の文字)
↑銃以外は全然どうなるのか使い方は分からなかったな(泉の文字)

 …レンに怒ると泣き出すけど、阿部に言ってもきかない。

 まさに横暴だ。

 というか、武器作るのやめろと誰もツッコミを入れないのが不思議だ


○月×▲日 雨 田島

レンに夜食に納豆と漬け物と梅干しと日本酒飲ませてみた。

オレが負けた。くやしい。

↑お前の部屋は納豆以上に臭いから片づけろ(阿部の文字)
↑クサヤの臭い(水谷の文字)
↑田島だって、お前には言われたくないだろ(泉の文字)
あー!オレの『久保田』がー!(巣山の文字)
↑あ、それオレ。悪い。一升いただかせていただきました。
今度買っておく。(栄口の文字)
↑相変わらず隠れ呑兵衛だ
…レンと飲ませたらどっちが勝つだろう?(沖の文字)
↑確実に除虫作業の入らない時期に席を設ける?家でね?(西広の文字)

 とうとう花井は思わず近くにあった三色ボールペンを赤にして、書き込んでおいた。

↑レンも田島も泉も未成年だろーが!酒を勧めるな!大学生組!


▲月○日 晴 21時 巣山

「阿部くんに『どっか行ってろ』と言われたけど、どっかってどこですか?」と真面目な顔して訊ねられた。
 阿部、頼むから命令口調はやめろ。
 あと誰だ?俺のパソコンのロック解いたヤツ。

阿部、オーボー(田島の文字)
阿部、おーぼー(泉の文字)
阿部、横暴(水谷の文字)
阿部が横暴なのはいつものことだから。
あー、今日、なんか「パソコンさわっていいですか?」ってきいてきたから頷いて
おいたけど?巣山のだったのかなぁ?(栄口の文字)
↑ンな事言った記憶ねぇ(阿部の文字)
↑…それはちょっと問題じゃ?あ、両方ともにね。(西広の文字)

 花井はやっぱ付け足しておく。

↑阿部はもとから横暴だ。横暴を治す薬はたぶんない。

 バカと横暴って同義語なのか、と少し思いつつ、ページぺらり。

○月○日 晴 10時 泉

おーい、アイちゃんは必ずつないでおけよー。
レン、電柱の一番てっぺんにいたぞー。
犬は一回噛まれて狂犬病うつされそうになったことがあるんだと。
それ以来すごく苦手なそーな。
…なんか他にも壮絶な話をちらっときいたけど…やめとく。

↑あ、ワリィ、それオレだ(田島の字)
↑やっぱりお前?(水谷の文字)
↑水谷に言われるのはつらいねー(栄口の文字)
↑トラウマは大変だ。気をつける(巣山の文字)
↑壮絶だね。(沖の文字)

 …というか、電柱のてっぺん?

 レンの能力があってからこそなんだろう。その場にいなくて良かった。心臓止まってた。オレなら。

 しみじみ思いつつ、ページぺらり。


○月□日  栄口より、フランス語を履修してる奴ら(他の授業のレポート代返してもらった水谷も含む)

 ローテ組んで、日本語の読み書きを教えるように。
 ひらがなとカタカナは読めるようになったから、漢字を教えること。
 ただし、阿部は命令口調で話さないように。

↑わかりました。(沖の文字)
↑了解。(巣山の文字)
↑オレのどこが命令口調?(阿部)
存在全て(栄口)
全部(泉)
話すこと全部(田島)
↑うーん。注意しないといけないレベル?(西広)
↑どーやって教えればいい?(水谷)
↑自分で考えて。大学生。(栄口)
↑ヒドッ(水谷)
阿部レベル(田島)
同感(泉)
ごめん。オレもそう思った。(沖)
↑みんなヒドッ!(水谷)

 花井はため息をついて、さらさらと書いた。

 ↑オレもレポート手伝ってもらったから。ローテ入れてくれ(花井)

 はぁぁぁぁぁ、と溜息をついて、その観察日記を閉じた。

 数日経って、花井はもう一度そのノートを見ようとした。だが。

このごろのレン 観察日記 Vol.3

なにこれ、この速さ。

 どうやら栄口と高校生組を中心に、色々報告しあっているらしい。ぽちぽちとモモカンやシガポもコメント入れてる。

 みんなレンに興味があって。
 みんなレンが笑ってくれて。

 みんなが暗中模索しているんだ。とつくづく思った。

「は、はない くん。」
 いきなり話しかけられて、びくぅっっと飛び上がった。うぉっ、ソファーから10pはとびあがっちまった。

「な、なんだ?レレレレレレン。」
「? … お おふ ろ。」
 びくびくきょどきょどおどおど。
「まぁ、落ち着け落ち着け。」
 風呂上がりなんだろう頭にかかってるバスタオルで髪の毛をくしゃくしゃとかきまわす。猫っ毛で柔らかくて気持ちがいい。
「ぷはっ…あ ありが とう。 はないく ん。」
「いや。…ちゃんとふいとけよ。風邪ひくぞ。」
「う ん。」
 テレビの部屋で田島がレンを呼んでいる。「あ。」という小さな声がしたので、オレはうながすためにも立ち上がった。
 走る音は全くなし。
 まだ報告は色々あるんだろうな。と思いながら、花井は風呂に入るために自分の部屋へと戻っていった。


まだまだ入り立てのころのレン。花井くん、やっぱり苦労性でした 笑