| 小康状態を保ち始めたのは、高瀬の目が覚めて2時間後であった。すぐに交代をして、ん?と思う。 「繭、薄くなってないか?」 「やっぱりそう思います?」 栄口が嬉しそうに反応を返す。ほら、やっぱり。と周囲に言う。 まだ顔などは見えないが、引き継いだ時の反応が軽くなっていたのだ。 「ああ、間違いないだろう。利央。判るか?」 「オレはなんかスカスカな感じに見えます〜。」 阿部は今、能力の使いすぎで起きるに起きれない状態になってしまっていた。口は悪いが仲間思い?と市原は感じた。 「阿部の精度ならどうなっているのかわかるんだけどな。」という高瀬の言葉にがくーんと落ち込みそうになるが、気合いで持ち直した。 「市原、栄口、佐倉、高瀬サン、少しずつパワーを下げてみて下さい。」 利央の指示で、全員が目配せをして、少しパワーを落とす。 「最小パワーでも平気そうです!」 佐倉の報告にこの部屋にいた者たちはほぅっと息を着いた。無論だが安堵の息だ。 「空撃士、何パーセント落とした?」 「おおよそ30パーセント。」 高瀬の答えに40パーセントまで落としてみるよう言う。果たして佐倉のパワーはどれくらい… 「最小限で平気です!」 「なら、30分ごとに5パーセントずつセーブする。市原は悪いがそのままで。」 「了解。」 嬉しそうに応える市原。 「さあ、あと少しで点滴のチューブが普通に繋がるぞ。」 いつの間にか空撃士、光撃士、結界士の取り纏め役になっていた河合が声をだす。 「あとひとふんばり!もう少しだ!」 『おう!』 全員が応える。 と、そこで巣山が動く。 「未成年は休み〜」 ぷしゅー 貫徹、サボり、重い物体を運んでいたりした泉に容赦なく睡眠スプレーがかけられる。 「まあ、今日は病院で合宿になること確定だから。」 笑い顔が栄口そっくりだ。と思いつつ、泉はまたもや意識を失った。 2時間を経過させ、誰もが繭状態が少しずつ薄れていると認識が持てた時、医師と研究者が相談を始めた。 出された答えは、ゆっくり光撃と空撃をやめ、結界は病院の者に委ねるということだった。 チューブも弾力性の高いものを使用しているから大丈夫だと思うという見解に全員が頷く。 「大地、水谷、光撃終了。空撃士、5分おきに5パーセントマイナス!」 『了解!』 やたら元気な返事が返る。佐倉と水谷は光を収縮させ、消滅させると、気が散らないようにと秋丸のもとへとふらふらと戻ってくる。 「お疲れ、佐倉、水谷。」 「はいっ!」 「ぅぃーす…」 何でちょっとしか寝てないのにこんな元気なんだろうと水谷ほか何人かが思ったが、パイプ椅子に座ったとたんにぐっすり。 「電池切れ?」 水谷が指差して沖に尋ねる。 「レンみたいだな。」 除虫作業を終えて、めいめいのパワーを回復させた後はバンの中で寝てしまい、田島や阿部が背負って部屋まで運ぶのだ。 「爆破士も大変だな。」 沖の言葉にそこら辺にいた者たちはうんうん頷いた。 「…オレは違うからな。」 やたらシリアスな顔をした榛名がぼそっと呟いたのを聞いたのは秋丸のみだった。 「5パーセント少なく!」 「了解!」 空気の膜が薄れ、緑色が混ざってくる。 点滴や機械の端末は正常に機能している。まずは一歩。 「さあ、これからだぞ。」 『目』の声に、一斉に頷いた三人。顔色も悪いし、脂汗も滲んでいるが、三人は互いを励ましあいながら調整と維持に全力を注いでいる。 「あと少し…」 全員が固唾を呑んで見守る。 20分経過したところで市原が抜け、30分で栄口が抜けた。 「高瀬、最後。一気にいけ!」 「了解!」 ばふっと音をたて、空空気膜が消滅する。看護師と医師、研究者が確認をとる。 「大丈夫ですね。」 「君たち、ご苦労だった!」 その言葉を聞いた途端、全員の緊張がとけ、その場へと倒れたのであった。 |
おつかれさまー
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