| 野菜の入ったかごを、田島の母親に渡すと、交代でシャワーをあびてさっぱり。 浮かない顔のレンと二人でテレビを見る。 可愛らしい顔つきの女性のアナウンサーが、昨日起きた男性殺人事件の犯人が逮捕され、それが実の息子だったことを告げる。 ぽつりと言ったレンの言葉が耳に入る。 「憎、めるほどのお とうさん…」 彼はいよいよこれから両親の愛を注がれるというその前に誘拐され、そして幾人もの人の命を奪ったのだろう。 想像するのは簡単だ。 だがそれが真実とは限らない。 レンはレンであって、自分ではない。当たり前だ。 だからこそ。 だからこそ。 出来ることもある。 「レン。」 ぼぅっとテレビを見ていたレンが文字通り飛び上がる。 「ニシウラのヤツらが家族じゃダメか?」 最初レンは何を言っているのか分からないという表情と怯えの表情、双方を見せた。田島は再度同じ事を口にする。 レンは。 レンは。 静かに泣き出した。 声も出さずに泣いているレンの周囲の音は、テレビのシーエムと、田島の息づかい… ぽかり 今新たに加わった音。 「悠!泣かせたの?」 田島の母親の声。 「そうかも。ニシウラの全員が家族じゃダメかってきいたら…」 田島も泣かす気はなかったとアピールしようとしたが、レンの前に母親がしゃがみこんだので口をつぐむ。 「レン君?」 母親の声に顔をあげ、またすぐにふにゃあと泣き顔に戻る。茶色の髪の毛を撫でながら、母親は口を開く。 「レン君の気持ちの持ちようよね。…今までこんな言葉を知らなかったんでしょう?」 こくこくとレンは頷く。 「そういう涙もたくさん流していいのよ?落ち着いたら朝ごはんを食べましょう?」 え?とレンと田島が顔をあげる。 「私は悠一郎の母だけど、どんなカタチでも母親というのには変わりはないから。」 「母さん…」 さしもの田島もこの発言には驚いたようで、母親をまじまじと見ている。 そんな田島の頭を今度は撫でながら「悠もたまには良いこと言うわね。」と笑う。 田島家で出勤が必要な者以外が朝食についたのは、それから一時間後のことであった。 朝食も食べ終わり、二人して歯を磨き、ザックを持つと、玄関へと進む。両親の骨は…レンが墓地を決めた後に改めて引き取りに伺うということで話がついている。 ガラリと田島がドアを開ける。眩しい、朝の光。振り向くと、田島家の人以外にもう二人、立っているような気がして慌てて目を擦る。 「なーに、レン。まだ泣いているんか?」 田島がタオルを引き出しながら尋ねてくる。 「ち がう よ!」 もう一度見る。今度はいなかった。 「じゃあ、行ってきます!」 田島が外にでる。 レンもお世話になった礼をしどろもどろに言い、そして最後に少し恥ずかしがりながら「行ってきます。」と言った。 田島家の者たちは口々に「行ってらっしゃい。」等の言葉をかけていく。 (お 父さん、お母さん も、行ってきます。) 田島が不思議そうな顔をして玄関を見た。 聞き覚えがあるようなないような声が聞こえたのだ。「行ってらっしゃい。」と。 (あー、レンの父さんと母さんかー!) うんうんと頷いて満足すると、もう一度「行ってきます!」と言った。 家族の声に混じって (レンをお願いします。)という声を確かに聞いて、 「はい!」と答えた。 レンを含む全員が怪訝な顔をしたが無視。レンに今話したら泣くだろう。だからヒミツ。マル秘だ。いつかは教えるけど。 二人して外に出る。空気が清々しい。その中を二人歩いていった。 |
田島だとこうなるけど…阿部様だったら………無理。私の場合全てキモベになるorz
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