病を治し、病にするもの
それを与えたのは果たして誰なのか。
永遠に約束された夕方の太陽。高くならないし、沈まない。
ここは彼らの世界。
彼が守る世界。
くんくんくん
「酒だ。」
くんくんくん
「酒だな。しかも安酒。」
くんくんくん
「いいモンもってんだろ?」
くんくんくん
「当たり前だろ?俺を誰だと思ってる。」
「俺そのまんま。お前は塩でも舐めてろ。」
「のびるでも食ってれば?味噌はそこに。」
「あー、そうしよう。」
「ああ、もう酒が終わっちゃう。」
「水谷、買ってくるなら一升瓶買ってこいよ。」
「そんなに重いのは持ってこられないよ。」
「仕方ないだろ。明日洗わせてもらって、寝るぞ。」
花井が言って、行灯に火を灯す。栄口が襖を閉めていく。じょじょに失われていく光。夕焼けの色。そして闇。
「あれ、こうやってみると、オレ、結構疲れてたんだな。」
ふわぁぁぁ、と水谷があくびする。つられて花井もあくび。阿部はさっさと布団にもぐっている。栄口は目を擦っている。
「寝ようか。」
栄口の言葉に、二人は頷き…………
『呑むぞーーーーーーーー!!』
いきなりばたん!と襖が開け放たれた。田島と泉のコンビだ。両手に持ってるのは………
「酒……?」
布団の敷いていない所にどん、と、樽。
「ほい、お前らのぶんの枡。」
「ます……すげぇ。」
「寝たふりしねーで阿部も呑め。」
スコーンと泉が枡を投げる。見事に阿部の頭に当たる。いい音。拍手。
「ってーな!なにすんだテメェ。」
「オレの酒が飲めねぇっつーんだな?お前。」
泉サンなにその迫力!田島を除く全員がドン引く。
「………樽?」
阿部が怒りにブチブチとキレながらも、疑問符を飛ばす。
「こんくらい飲めるだろ?」
「飲めないでどうする?」
あっさりと二人は答える。
「田島、さっさと。」
「あいよ。」
ばっかん!
田島の拳いっぱつで、樽の中央にかなり大きな穴が開く。それなのに酒は一滴たりとも飛び出さない。フシギだ。ナゾだ。
「おいよ。」
「はいよ。」
田島の枡を受け取り、ざぶんとすくって手渡す。ワイルドだ。
「お前らもとっとと酌め。どーせ全部呑むんだから。」
泉が自分の枡を中に入れつつ言う。
三人は視線を合わせて………
「おぅ!」
それはもう、ヤケクソが8割入った了解の言葉だった。