この世界にはヒトはいらない。
神がおわしますこの地。
守るのは精霊。
そして
永遠に約束された夕方の太陽。高くならないし、沈まない。
ここは彼らの世界。
彼が守る世界。
4人ははっとして後ろを振り向く。変わらない太陽の位置。そして…夕方の風。
「お前たちは迷い込んだんだよ。神の世界に。」
泉が言う。
「三橋は気が弱いけど優しいから。うーん。結構頑固だな。」
「お、お前たちは?」
花井のようやく出た言葉に二人は顔をあわせて笑う。
「オレも田島も、ニンゲンじゃないぜ。」
「分かったらそれはそれでスゲーけどな!」
じゃあ、しっかり寝ろよー。と二人は音もなく廊下に出て行った。
残されたのは、この世界では4人しかいない、ニンゲン。
「とりあえず…」
阿部が声を出す。ごくり、と全員が唾を呑む。
「布団を敷く。全員疲れてるから寝ないと。トイレ行くヤツは今のうちに行っておけ。」
急にイッちゃってる世界から、日常世界に落ちてきた。そんな感じ。すとん、と何か心に落ちて、固まった。
「なんで阿部はあんなに冷静なんだ?」
呆れた花井の言葉に栄口が笑う。
「も少しつついたらキレるって。」
廊下から外を見ていた二人は次に入ってきた言葉に苦笑する。
「水谷ィィィ!」
ほら、やっぱり。
二人、顔を見合わせる。
「何やったんだ?」
花井が苦笑いを浮かべながら阿部を見ると、阿部は水谷の手元を指さす。花井と栄口がそれを見て…
「良くここまで持ってきたな。」
呆れすぎると苦笑しかでないのか。と初めて知った花井。
「道理で重そうだったもんね。ヘンなの色々入っているようだったし。」
うんうん。と頷く栄口。
もう浮かべるのは苦笑しかない。
「仕方ないだろー?最後のあたりでみんなでパーッとカンパーイってやりたかったんだから。」
ワンカップの酒が4つ。ごろごろごろごろと置かれていた。
「飲もうぜ!飲んで寝る!これが一番!」
まぁ、1つのカップ酒では酔うのは難しいが、それでも睡眠の足しにはなるだろう。
全員、車座になって、水谷からカップ酒を受け取る。
「んー、じゃあ、この夕焼けの世界に乾杯!」
『乾杯!』
がつん、がつんとカップ酒が当たった。