ニンゲンは
飲まないと生きていけないし
食べないといきていけない。

殺し合いもするけど。

でも。

ニンゲンやイキモノの為に、
彼の方はこちらにおわします。


 永遠に約束された夕方の太陽。高くならないし、沈まない。

 ここは彼らの世界。

 彼が守る世界。



 入れ食い状態って、あーゆーの言うんだって、オレ始めて知ったよ〜。
 ハラワタすら出せないヤツが何言ってやがんだ。
 阿部だって出せなかったろ?泉に教えられてよーやく。
 お前、一番ボロいヤツな。
 わっ、ヒド…って、オレがさばいたヤツじゃん!
 あー、うるせー。


 食べられる草って色々あるんだなー。
 森は食料の宝庫って言うもんだしな。
 花井は半分毒草とってたな。
 そういうお前もワライダケとって田島に笑われてたな。



 わいわい、がやがやと田島がいつの間にか起こした火と、泉がどこからか持ってきた水を使って料理。水谷がマイ醤油、泉が塩を提供し、魚は焼いて、山菜やキノコは洗ってちぎって、塩と醤油で煮る。
「お前ら、食事は?」
 どこかでパクッてきた割り箸2膳を真ん中で折って、4人前にしている水谷を見ながら花井が尋ねる。
「オレらはいらねーから。」
「食べ終わったら呼べよ。洗い場を案内する。おい、田島、部屋の…」
「あ、そーだ。じゃあ、終わったらなー。」
 すたたたたっと普通の足取りで、こちらに面している廊下に向かう。靴を脱いで二人とも右側の部屋へと入っていく。
 まぁ、さっさと食べてしまおうと4人は悲しく割れた箸を手に、戦闘準備に入る。




「あいつら、ちゃんとしたニンゲンだな。」
 部屋にある行灯全てに火をともす。真っ暗だった部屋が少しだけ明るくなる。

「左側の部屋」。「自分たち」から見て「左」ではなく、常に同じ位置に座っている三橋の側から見て「左」。三橋は三橋なりの最大の歓迎をしているらしい。
「そうだな。魚も最低限しかとらなかったし。後は全部放流してたし。」
 よっこらせ、と布団を取り出す。
「前回来たヤツはもっとガツガツしてたよな。」
「ああ。魚も保存食にするとか言って、山菜も殆ど採ったんだろ?」
「そうそう。三橋、全然顔を出さなかったし。」
 悲しい時は、絶対に襖を開けない、彼の方。
「今回はどうなのかな?」
「さーてな。でも儀式はするみたいだぜ?」
 気配をいち早くとって、田島が言う。
「へぇ、三橋、あの儀式、ニンゲンに見せるの始めてみるよーな。…って、なら結界の準備。」
「玉鋼(たまはがね)なら準備できてるぜ?」
「田島のくせして準備早いな…。」
 ほいほい、と枕を田島に投げながら泉が呆れ口調で言う。
「なーんか、あのニンゲンたちになら、三橋見せそうじゃねーか?」
「それは言えてるな。」
 えいやっと掛け布団を田島に投げる。
「食べた後は、ちゃんと浄化してくれよな、泉。」
 ばさっ、と敷き布団の上に置いて、もういっちょ、と手を出す。
「当たり前だ。不浄ものを置いていいのは鉄の鋳造のみだ。」
 ほりゃっ、と力を込めて掛け布団を投げる。
「良く知ってるなー。泉。」
 でも一番いいのはニンゲンの死体だけどなー、と言いながらばさりともう片方の敷き布団に置く。
「お前よりもだてに歳は食ってないからな。」
「そーだな。泉じーさ…」

 最後まで言う前に、殴られた。歳の話はこの世界でもタブーである。