春夏秋冬
はる
なつ
あき
ふゆ
どんな季節になろうとも
この時間はやってきます。
永遠に約束された夕方の太陽。高くならないし、沈まない。
ここは彼らの世界。
彼が守る世界。
朝食をすませ、全員が口をゆすぐと、それぞれに和服が与えられた。着替えは知っていた栄口と、そして浜田が手伝う。あっという間に白い和服姿になった4人はそれぞれ「死に装束みたいだ」と思っていた。
「合わせはあってるから、普通の人間用だぞ。」
浜田が笑いながら言う。それでも何だか白い和服というのはそれしか見た事がないので何とも言えない。
「おーい、浜田、準備は出来たか?」
ひょい、と部屋に入ってきたのは田島。彼には藍色と少し灰色がかった薄い藍色の和服であるが、その光沢からして正絹でつくったものだとあまり詳しくない花井でも分かった。
「お、今日は藍で決めたか。」
「まーな。藍鉄と藍鼠(あいねず)が見つかったから。…お、泉。」
「よ。お前そんな色持ってたのか。」
かく言う泉の着物の色は薄い緑色と濃い緑色。
「泉は蓬(よもぎ)か。夏の合わせだな。」
「基本的に。…お前は?」
浜田はまだ朝の格好のままだ。
「…あー。この間作ったヤツあったな。…ちっと待っててな。」
言うと、すっと姿を消す。神出鬼没というのはこのことを指すのではないのか。4人がそう思い出した時、再度その場に現れた。
今度は薄い水色とそれに灰色を乗せた様な微妙な色合い。
「田島とかさなっちまった。」
「だよな。それ薄雲だろ?薄雲鼠(うすぐもねず)。」
「正解。あと夏らしく卯の花で。」
へっへーん。と浜田が自慢する。そこで泉がさて、と一言言う。4人は少し身構えた。
「これから一言も話すなよ。三橋がいいっていうまで。」
その言葉の後を受けて、浜田も付け加える。
「一言でも話したら、どこ行くか分からないからな。」
「あと、オレたちの歩いた後と方法を見てきゃあいいから!」
田島が結んで急に歩き方を変える。全く足音がしない。泉、浜田も続く。角できっちり曲がり、柏手を2回。歩き出す。
全員、なんだなんだと思いつつもそれに倣い、彼らの後を進む。
4回、柏手を打った後、入ったのは真っ暗な部屋だった。彼らは暗闇でも目が見えるのだろうか、花井、水谷、阿部、栄口と並ばせて正座させると、近くに座った…気配がした。
と、栄口たちから右側の方向からしたーんしたーんという音がしてくる。闇の中、友人たちがいると思っていても怖いものは怖い。が、声をあげてはいけない。
したーんしたーん音は近づき、最後に開いた時は、全員声をあげそうになってしまった。
夕陽。夏の、夕陽。
「おつかれ さま。」
また声をあげそうになる。いつの間にやら一段高い、上座に一人座っている者がいた。
「帰って…おい で。」
彼はゆっくりと手を広げる。ここにいない者たちに。
こんな奥まった場所なのに、陽炎のような風がゆわん、ゆわんと吹いてきた。
4人は声すら出せない状態のまま、それをじっと見ていた。