彼の方の
悲しむ顔は見たくない
むしろ
滅多に見られない笑顔を見たい

だから
笑ってくれるなら
なんでも致します


 永遠に約束された夕方の太陽。高くならないし、沈まない。

 ここは彼らの世界。

 彼が守る世界。



 どたばたばたばたばた…ばたーーーーーん!

 襖をしぱーーーん!と開けて、田島が怒鳴る。

「おっっきろーーーーーーーーー!!!」

 4つの布団がもそもそと動く。だがもそもそと動くだけでそれ以外のリアクションは何もされなかった。
「ほら」
「おき」
「ろっ」
「てーの!」
 言いながら、田島は容赦なく全員の布団を剥ぐ。
「……あー、おはよー。」
 一番寝起きが良かったのは、それでも爆発頭になっている栄口。他は全員撃沈している。水谷あたりはうめき声をあげている。頭を抱えているところをみると、やっぱり飲みやすい酒は罪だと思う。
「ほれ、水谷、口開け。二日酔いの薬やっから。」
 しゃーねーの。と言いながら、懐から何やら薬を取り出して、ほげーと口をあけてる水谷のそこに放り込む。そのまま竹筒に入れておいた水をじゃーと入れる。…鼻摘んだまま。
「!!!!!!」
 水谷もこれには驚き、目を白黒させながらも飲み下す。けはーと魂までも抜けそうな息をつくと…すぐに田島に水を強請った。「苦い!ナニコレ!」と顔をしかめている。
「そりゃ薬だもんな。浜田お手製の。」
 水谷にさっき飲ませた竹筒を渡し、花井のもとへと向かう。花井も水谷がやられたことを見ていたのでとりあえずは起きあがっていた…顔色は悪いが。
「ほれ、飲め。」
「ああ…ぅぷ」
 丸薬なのだが、口に含んだとたんにはんなりと解け…苦さと苦さとほろ苦さと苦さが口の中を襲う。慌てて口の中に水を含む。飲む。そしてそのままぐびぐびと飲む。
「阿部も飲め〜」
 田島は水谷と同じ事をしようとしているらしい。だが。
「るっせぇ!寝かせろ!」
 問答無用。剥がされた布団を掴むとさっさと二度寝に入ろうとする…が、それは田島が許さなかった。
「よぉっし!阿部には特別めにゅー!」
 いきなり寝ている阿部の首根っこを掴むと、ずるずると引きずり出す。そしてそのまま廊下へと行き………田島が何かを数回踏む仕草をした後…………

「あ、飛んだ。」

 部屋に見知らぬ声が入る。全員が見ると、自分たちよりも少し年上くらいの男が立っていた。
「おー、あいつ以外は全員薬効いたみたいだな。よかったよかった。」
 言われて二人ははっとする。二日酔いの諸症状がすべてなくなっているのだ。
「えーと、水谷文貴です。こいつが花井梓、そこにいるのが栄口勇人、あなたは?」
「あ、オレ?オレは浜田。」

 どっぽーーーーーーーーん!

 昨日(というか寝る前に)行った池から派手な水しぶきがたった。
「さすが田島。」
 浜田は立ち上がると…

「!」
「うわぁ」
「え。」

 そのまま空に浮き、池のほうへ飛んでいった。

「………」

 無言のまま待つこと数分。
 盛大に水しぶきをあげたにも関わらず服と髪が濡れていない阿部と、田島と浜田がいた。
「とりあえず、そろったところでおはよう。」
 4人、めいめいの姿で挨拶をした。
「外に朝食を用意した。食べて口をゆすいだら、色々やることあるからな。」
 言うと、浜田は田島を伴って部屋を出て行こうとする。
「…感謝する。」
 礼を言ったのは、阿部であった。