花井はとりあえず新品の一番いい服と、これから使うバックを机の上に置いて、大きなベッドに寝ていた。中学から急に背が伸びたので使っていたベッドでは足が出てつらくなったので急遽高校進学祝いとして買って貰ったのだ。それまで大変だった。ようやく足を伸ばして寝られるというのはこんなにシアワセなのかと思いつつ寝る。
寝息は静かだ。
栄口はむくり、と起きあがった。
「う、うんこ…。」
入学式、とか考えると、どうしてもお腹がキューッとなってしまうのだ。これでもう何度目だろう。もうすでに腸内で消化していないものまででてきている。結構ヤバい。いい加減寝ないと明日に響く。下痢止めを飲めばいいのだが…いかんせん、その下痢止めを飲むと、今度は便秘になってしまうのだ。
下痢をとるか、便秘をとるか。
栄口は真剣に悩んでいた。
沖は気持ちよく寝ていた。
明日は入学式。どんなヤツに会えるのか。
入る部活も決めてある。野球部だ。高校、といえば野球部。やはりコレだろう。
自分がピッチャーになることはまずないと思うけど、夢に出てきたピッチャーは…泣いていた。
泣かさないよう、泣かないよう、夢の中で決心していた。
西広は寝ていた。
入学式は楽しみだ。部活は何にしよう。前は何にも入っていなかったから、活動的な部活がいいかな?
陸上部?水泳部?サッカー部?…野球部?
明日は色々部活の新入部員の勧誘があるんだろう。
その時決めよう。
すぴぴ、と鼻から寝息が漏れた。
巣山は寝ていた。
はてさて、受かってしまった西浦高校。どっかのゲームみたいに恋に花咲くのか(それはないだろうな)。勉強に打ち込むのか(それも無理そうだな)。なら…野球だな。西浦高校って、硬式あったっけなー。
ごろん、と寝返り打って、ぐぅ、と寝る。
フトンの下は、寝押しの一張羅だ。
泉はぐっすりと寝ていた。
髪の毛をばっさりと切ってみたのだが、これがまたあまり気に入らなかった。
入学したら、さっそく伸ばしてやる。
入学前からの、決心だった。
田島はそりゃもう気持ちよく寝ていた。
ゴミ箱にはくしゃくしゃになったティッシュ。…頑張ったらしい。
「うったぞー…」…ごにょごにょ。
部屋の入り口には明日着ていくものがかけてある。
Tシャツは一番のお気に入りのやつだ。
たとえなんと言われようとも、お気に入りはお気に入り。絶対に違うのにしないもんね。
「ウシシシシシ…」
田島の寝言は続く…。
水谷は寝ていた。
明日持って行くMDの選曲は一番最高な曲をチョイスした。明日はスペシャルデイだ。
カワイイ女の子、いるかなー、でも、野球部だからなー。やっぱりヒマないんだろうか。
でもなー。
でもなー。
ぽりぽりと腹をかいて、ごろりと寝返り打った。
その顔は、でろ〜んととろけてた。
三橋は…寝ていた。
ようやく寝られた。右手にしっかりとボールが握られている。
野球部、叶くんと約束したから…
でも、ピッチャーなんていっぱいいるんだろうな。オレのつまんないボールなんて誰も受けてくれない。そう、誰も。
つーっ、と右目から涙がこぼれた。
阿部は寝ていた。
「─────────!」
跳ね起きた。右足がつったのだ。
そろりそろそろと痛いのをガマンして揉む。激痛が痛みに変わり、落ち着くと、はぁ、とため息をついた。
「はぁ。」
ため息をついて、もう一度布団をかぶる。
「ピッチャーか…」
呟いて熟睡に落ちるまで、10秒かからなかった。
まわる 地球は まわる
昨日流した 涙に サヨナラして
明日の朝には変わる 今まだ夜明け前…そう。夜明け前。
もうすぐ、夜が明ける─────