「み・は・しぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 いつものように、阿部が怒鳴ってます。はい。今日も栄口がお送りします。



野球部の人たち・怒鳴るのを止めさせる方法。



 外野あたりでごそごそとオレを中心に会話が始まります。今日のメンバーはオレ、西広、沖、巣山、……7組9組除いた全員じゃね?と思ったあなた、正解です。
「…また始まったねー。」
 三橋のウジウジか何かにブチ切れた阿部をなだめる為に胃を抑えながら走っていく花井とまたやってんのー。といつかはその好奇心が命取りとなるだろう水谷……あ、水谷。悪いけど命とられるのは来年までは待ってて。新入生が入らないと野球で試合やるの難しいから。三橋側の宥め役は言わずと知れた田島と泉だ。あいつら足速いから早速阿部から三橋を引き離してるよ。さーて、今日はどーなんだか。
「なぁ、もしもさ。」
 グローブで顔半分を抑えながら(要は阿部たちのやりとりを見たくないんだろう)巣山が言い出す。ふん?と全員が巣山の方を向く。
「阿部に怒鳴るとしたら、何て怒鳴る?」
 お、今日は面白いお題が来た。さっそくざわつき出すオレら。

「だーかーらー!」

 あ、また阿部が怒鳴った。三橋は確実に泣くな。こりゃ。
「罵倒系はまず無理だね。睨まれておしまい。」
 はーい。とすこし脅えながら答える沖。沖もなかなか小心者なので、三橋が怒鳴られると一瞬体が跳ね上がる。そういう仕様だ。仕様。
「そうだな……いい加減この間のジュース代返せ…かな?」
 その言葉に全員がえええとなる。西広先生。ジュース代せびられてたのか?
「あ、いや、自販機で10円が足りないっていうから貸したんだ。」

10円かよ!


 全員の視線がその台詞に集中していた。西広先生からお金を借りるのはやめよう。知恵は借りるとしても。うん。我ながらうまいうまい。
「オレは……いい加減倒れるからやめろ…かな?」
「どっちが?」
 巣山の台詞に沖がつっこむ。
「阿部。なんか高血圧そうじゃないか?」
「ああ、怒鳴ったら頭からぴぅーって血ィ吹いて…」
 西広先生の言葉で簡単に想像がつく。頭のてっぺんからぷちーっぴぅーっぷしゅーっな阿部……

 あっはっはっはっはっ

 全員が大受けした。
「栄口は何かあるの?」
 沖の質問にオレはうんうんと頷く。
「オレは………」
 オレの話に、全員が食らいつき、そして実行となった。



「いいかげんにしろっ!」

『だまらっしゃい!!!』

 阿部の怒鳴り声にかぶせるように4人の怒鳴り声。阿部はおろか、花井も、泉も、田島も…全員ぽかーんとしている。

 ああ、気持ちいい。怒鳴った後の開放感。オレらは自分たちに拍手喝采を送っていたのであった。





 次の日、4組に教科書を借りに来た水谷からの情報だとお前が怒鳴るから一斉蜂起したんじゃねーのか?栄口中心だぞ?とか悩みに悩んでる花井を中心に阿部はぶすくされ、三橋はキョドり、田島と泉は楽しんでいるとのコトであった。
「まぁ、昼休みに花井には声をかけておこうかな?」
 オレはふふっと笑う。巣山と西広と沖がなんかヒいた。仕方がないじゃん。尻ぬぐいなんだから。
「な、なんて?」
 巣山が恐る恐るきいてくる。
「んー、そうだな。できるだけ綺麗な発音で。」

Don’t mind?

「おまえ、それやめとけ。」
「花井のほうが頭から血ィ吹くから。」
「違う言葉にしておいたほうが……」


 結果、昼休みは全員で屋上にて食事をするコトになった。まぁ、にぎやかだったのはいい。

 阿部は怒鳴らずにただただ黙っていた。田島がぶつかってきても、だ。

 ああ、にぎやかかつ荒くれだたない静けさ。これがいいね。

 以上、栄口からの報告でした。



やはり栄口は黒いのか? 笑